608.アルターイオ‐②
お待たせ致しましたー
「わぁ!? なにこれなにこれ!! すごいすごい!!」
出来上がった『アルターイオ』こと、巨大な四角いピッツァのビジュアルに驚いたフィーさんは思いっきりはしゃいでくださいました。さすがにすぐにつまみ食いとかはしなかったが、あちこちから観察してきゃーきゃーいう感じ。
「アルターイオという、蒼の世界でピッツァ発祥の地でも特別なときに振る舞われるピッツァです。いつものピッツァでも作るように、箇所によって具材とかを変えていますよ」
「へー! 切り分けて食べるのは同じでも、こっちのが迫力すごいね!」
丸でも作れなくないが、参加人数と消費量を考えたらこの方が効率良いからね。ファルミアと話し合って決めたのです。
「搬入作業お願いします!」
「任されたよ!」
フィーさんが指パッチンしたら、あっという間に巨大ピッツァが消えて魔術の中に収納されたのです。
お片付けは作りながらしていたので、あとは着替えるだけ。
二次会風だけど、披露宴パーティーみたいなものだからシンプルでもきちんとドレスにとのコロネさん談。
「うぉおあ!? なんだこりゃ! すげぇ!!」
準備が出来た食堂に集合したら、メインのエディオスさんがセリカさんといっしょに入って来ると同時にアルターイオに驚いてくださいました。説明すると、せっかくのイケメンさんの顔立ちが食いしん坊へと崩れるように変化しちゃった……。
「乾杯の音頭は、エディだよ~!」
「おう! せっかくのピッツァが冷めちまうからな! さっさとしようぜ!」
「雑にすんなよ?」
イシャールさんのツッコミがあったおかげか、神王様らしい雰囲気はないが祝い事なのできちんと挨拶したエディオスさんは音頭をとってくださいましたー。
「切り分けは私と料理長にお任せを」
参加者だけど、僕とファルミアは楽しんでほしいからとシャルロッタさんとイシャールさんがピッツァの切り分けを担当するので……着飾ることもなく、いつもの黒いコックスーツで二人とも参加されているのだ。
地位はともかく、親しいメンバーばかりなのに……律儀な人たちです。
「おら、エディにセリカ。ここの部分食え」
イシャ―ルさんが切り分けた部分は、ベーコンとサラミたっぷりのとこ。さすがはご親戚で幼馴染みさん。相手の食べたい箇所がよくおわかりで。
エディオスさんは大はしゃぎでお皿を受け取り、セリカさんにも渡して上げていた。その様子を見ると、まだまだ恋人のようにも見えるが今日からお二人は夫婦だからね。
新婚さんほやほやだから、いずれしっくりくる関係になるだろう。
僕も、いずれはセヴィルさんと結婚するから……そこはどう馴染んでいくかな?
いろんな人とわいわい楽しむのももちろん好きだけど……大好きな人と、手を取り合って生活していく未来。
それを、この世界に来て手に取ることが出来たんだから、幸せになっていこう。
大好きなピッツァを作り続けていく日も、まだまだ先があるのだから。
しみじみ思っていると、セヴィルさんに肩を叩かれた。
「見守っているのもいいが、大喰らいらに食べ尽くされるぞ?」
「それはいけませんね!」
美形だけど無表情とか冷たいとか、周囲に言われまくってたこの人の心の在り方を変えたこともあるから……僕は、セヴィルさんともっと一緒にいたいんだ。
長い長い寿命が尽きるまで、ずっと。
次回はまた明日〜