600.幼馴染みで親友の進展(ファルミア視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
「……なんですって?!」
カティからの通達が届いて、私は今までにない大声を上げてしまったわ!
「どうしたの? ミーア」
『『『『ファル??』』』』
リースや四凶たちが驚いているのは当然だけど、気にしてはいけないわ。これは……由々しき事態なのよ!? 皆とも共有しなくちゃだわ!
「聞いて、皆」
「うん?」
「カティとゼルが……城で同居することになったのよ! 同じ部屋で‼」
「え⁉ 俺、ゼルから聞いていないんだけど⁉」
「私もカティからの通達で今知ったばかりよ!」
喜ばしいことだけど、途轍もない進歩だわ。
カティは前世じゃ、男兄弟の中で育ったから異性への感心はどっちかというと薄い方だったのに。
ゼルっていう、初恋の相手で御名手って存在が出来てから……女としての自覚も薄かったあの幼馴染で親友が! 結婚してもいい存在が出来たら、乙女丸出しよ⁉ 通達の内容だと、自分から普段着の提案をしたんですって! 奏樹だった時にはあり得ないことなのよ⁉
「へーえー? だったら、何かお祝いでもするの?」
「したいんだけど。衣装とかはリュシアたちが色々手配していると思うの。カティも珍しく乗り気らしいし」
「んー? それじゃあ、別のこと?」
「何がいいと思う?」
「君だったら……料理とか?」
「やっぱりそうね!」
つわりも今のところほとんどないし、腹部のふくらみが出来る前なら少し凝ったものでも大丈夫なはずよ!
『我らも手伝おう』
『『『是』』』
「ありがとう。とくれば、お祝い事にぴったりのお菓子にしましょう!」
「なになに?」
「シーズンとしては早いけど、秋から冬に蒼の世界の一部では伝統として受け継がれているお菓子なのよ」
ガレットデロワ。
カスタードを包んで焼いたパイといったシンプルなお菓子だけど。
その中身に、工夫があるのよね。くじびき感覚で占いをするって仕組み。あれをカティは知っているから、それを贈ればゼルと楽しんでもらえるはずだわ。色々と。
リースたちにも教えれば、自分たちでもやりたいと言ってくれたから試作はそちらですることになったわ。
「どんなものを用意すればいいの?」
「指輪。酒瓶の蓋。銀貨や金貨でもいいわ。そのまま入れると大変だから、包み紙に入れるのよ」
「いいねいいね! すっごく楽しそう!」
「そうと決まったら、材料を集めて試作よ!」
婚姻じゃないくても、カティが異性と同じ部屋で生活すること自体が奇跡に近いんだから。
いずれは結婚するにしても……さすがに、その時はゼルも邸を持つでしょうけど。最恐の寝相改革のためとはいえ、なんとかなるものね。カティの前では魔力暴走がほとんどなかったって報告にも驚いたもの。
次回はまた明日〜