591.まだまだ覚悟が足りない
お待たせ致しましたー
◆◇◆
ああ、びっくりした……。
びっくりしたびっくりしたぁ!?
セヴィルさんに迫られたと思っていたら、寝ぼけてただけだったみたい!!
いきなり、寝込みを襲われたかと思っていたら違ったんだもん。良かった良かった?
ちょっとだけ、残念に思っている僕は痴女なのか!? そりゃ……セヴィルさんは大好きな婚約者さんだけど、キスとか頻繁にする人じゃなかったから……さっきのはいいきっかけだったかも、と?
だけど、僕は恋愛初心者なんだ!?
ファルミアのように経験値があるわけじゃない!!
いきなりの、には抵抗しちゃうのは仕方ないんだ!!
(……でも、もう子どもの体じゃない。セリカさんと同じくらいの大人になったんだから)
セヴィルさんの気持ちも考えて、ちゃんと受け入れなくちゃ。
とりあえず今は、今晩のパンツェロッティのために材料を選ぶとこから始めていく。
「セヴィルさんは、具材の好みとかありますか?」
「……お前の作るものなら、と言いたいところだが。せっかくなら、魚介ものがいいな。そこにカッツをたっぷり入れられるか?」
「魚だと、カッツに負けちゃいますが。ヴィラカダとかの甲殻類ならいいですね?」
「生地の仕込みをゆっくりするなら、近くに沢がある。獲りに行かないか?」
「ヴィラカダですか?」
「いや、クレインというものだ」
「クレイン?」
「蒼の世界だとどう言うか、フィルザス神ではないからわからない。見に行くか?」
「いいですね」
発酵時間は結構あるから、濡れ布巾をボウルに被せて、いざお出かけ!
クラウを抱っこしながら、セヴィルさんと並んで歩いたけど……僕、本当に大人の体だからセヴィルさんと近い。肩より少し低い程度だけど、アナさんくらいだから背は高い方かな?
前世では日本人の平均身長だったけど。
「あそこだ」
セヴィルさんが言った場所には、川と言うよりも本当に沢って感じ。
落ちないように覗き込めば、岩場に見覚えのある生き物が水の中で動いていたんだ。
「でっかい沢がに!?」
毛蟹まではいかないけど、結構大きな茶色のカニがうごうごしていたんだ。これを……パンツェロッティの具材に? 身の詰まり具合にもよるけど、面白そう!!
「カニ、というのか?」
「ですね。海にもいるんですけど、同じ呼び方ですか?」
「だいたいそうだな」
「この前のバカンスだと、ご飯に入れてなかったですし」
どんな味がするのかな?
水は綺麗だから、臭みはあんまりないように見えるけど。
とにかく、これも網ですくえば簡単に取れるそうなのでセヴィルさんが代表して、魔術と合わせて獲ってくれました!!
次回は土曜日〜