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059.晩餐会は正装にて-①

本日昼の投稿でーすノ

 






 ◆◇◆








 僕は今食堂にアナさんと向かってるところだ。

 ヒールついたパンプスのような靴は歩きにくいけど、アナさんが合わせてくれながらゆっくり歩いてくれているし、クラウは僕の肩の上でちょこんと座っています。


(……この格好大丈夫かなぁ?)


 今日は晩餐会だからしょうがないとは言え、僕がこんな格好をしていていいのかまだ自信が湧いてこない。

 ドレスなんて今の外見の年齢以下の頃にお遊戯会で着たか、写真撮影で着たかってくらいだ。


「カティアさん、大丈夫ですわよ。とてもよくお似合いですわ!」


 僕の心配を他所に、僕以上におめかしされているアナさんは藤色の瞳を輝かせて頬を紅潮させていた。


「ふゅ、ふゅぅ!」


 こっちもコロネさんの手でおめかしさせられたクラウが薄金の翼をピコピコ動かしながらも、僕に頷いていた。

 自信持てってことかな?

 けど、君の主人として大丈夫か?

 とかなんとか悶々としている間に、早くも食堂の扉前に着いてしまった。


「カティアさんは少しこちらでお待ちくださいな」


 と言って、アナさんがちょこっと扉を開けて中に入ってしまい、僕はクラウと外で待たされることになった。


「あれー? カティアにクラウ?」


 間延びした少年の声が聞こえてきて振り返れば、個性的な黒いマントに黒装束と言ういつもの格好のフィーさんがいらした。


「フィーさん」

「ふゅ」

「わぁ、二人とも正装? 可愛くていいじゃん!」

「あ、ありがとうございます……」


 この神様お世辞はあんまり言わなくてほとんど本心からの言葉だから、こそばゆく感じてしまいます。


「でも、なんで中に入らないの?」

「アナさんからちょっと待っててほしいと言われたので」

「ふーん?」


 と、フィーさんは首を傾いで横目で扉を見た途端、ふふって口元を緩めて顎に手を添えられた。


「なるほど、そういう事か?」

「え?」

「カティアは呼ばれるまでここに居て。僕は先に入るけど」

「ええ?」


 フィーさんはアナさんと同様に扉をちょこっと開けて中に入ってしまい、僕はまたクラウと二人ぼっちにさせられた。


(一体中では何があるんだろうか?)


 フィーさんはなんとなくわかってるような感じではいたけど。


「皆さん全員いるのかな?」


 エディオスさん、セヴィルさんにヴァスシードからはファルミアさんとその旦那さんの国王様。

 名前は……たしかユティさんとかリースさんとか愛称で呼ばれてたけどちゃんとしたお名前なんだったっけ?

 あとは、ファルミアさんのしゅごようのしきょうの皆さんも居たりするのかな?

 とここで、扉がキィっと開いてアナさんが顔を出してきた。


「お待たせいたしましたわ」

「え……っと、なんで僕達が外で待つ必要があったんですか?」

「その素晴らしいお姿を拝見する御覚悟をしていただくのに、少しばかりご説明させていただいたんですの」

「はい?」


 たしかにコロネさんの手でお化粧や髪もいじられていつもとは違う雰囲気になってるのはわかるけど、初めて会う人もいるからそこまで大袈裟なことじゃないと思うが。

 とりあえず、僕は一度深呼吸してからドレスの裾を摘んでアナさんに促されるように食堂の中へ入っていく。


「お待たせいたしましたわ皆様」


 体が小さいのってこういう時得だ。

 アナさんの後ろに隠れてじっとしていれば、クラウは出たいようでうずうずしながら翼や手足をピコピコさせていたので、よしよしと頭を撫でてやった。


「お、ようやくか?」


 エディオスさんはぴゅぃっと口笛を吹いてご機嫌のようだった。


「早く見せてちょうだいな、リュシア」


 どこに座っているかわからないけど、ファルミアさんの声も聞こえてきた。


「そんなに可愛い子なのかい?」

「ええ、とっても」

「へぇー」


 初めて聞く男の人の声だ。なら、今の声がヴァスシード国王様でファルミアさんの旦那さんかな?

 エディオスさんやセヴィルさんに比べたら高めの声だがちゃんと男の人の声だった。


「先程もお伝えしましたが、驚かれないでくださいましね」

「もったいつけずに早くカティアを座らせてやれ」


 セヴィルさんが呆れたようにため息を吐いた。

 たしかに、ずっとヒールついた靴で立ってたからそろそろ座りたいです。

 すると、アナさんがくすくすと笑われた。


「ゼルお兄様が一番御覚悟なされた方がよろしくてよ?」

「……わかってはいる」

「ゼルが? なんでだい?」


 国王様には僕とセヴィルさんが婚約したことはやっぱり話してないみたい。


(いやまあ、いきなり話せる内容ではないでしょうよ?)


 圧倒的な年齢差は置いとくにしても、子供と大人が急に婚約しましたって言ったところで信じられるわけがないない。


「アナ早く早くー」


 うずうずされてるようなフィーさんの声が聞こえてきた。

 さっきも見たでしょ、あなたは!


「そうですわね」


 アナさんが横にずれてしまったので、いきなり僕とクラウの姿が皆さんの前に曝された。


「えぁっ」


 僕は間抜けた声を漏らしてしまった。

 普通ならもっと優雅にドレスの裾を摘んでお辞儀しなきゃだけど、急な展開にそれどころじゃなかったです!


「ふゅぅ!」


 クラウは僕の肩の上で呑気に声を上げていた。


「ほーぉ?」

「あら可愛いらしいわね」

「え……子供?」


 皆さんそれぞれ全然違う反応でいらっしゃるが、僕はどう対応すればいいのかあせあせの状態だった。

 とりあえず目線だけで部屋を見渡せば、上座にはエディオスさんがニヤついた顔で座っていてフィーさんはいつもの席でにまにましていた。

 その隣には朱色の髪の男の人が座っていて、僕を見るなりきょとんとライトグリーンの瞳を丸くされてました。更にその隣にはさっき以上にお綺麗に身なりを整えられているファルミアさんが少し頬を赤らめている。

 しきょうさん達も国王様と同じように目を丸くされてましたよ? 何故か壁際に立っていて。

 で、セヴィルさんはと言うと、僕を見てぽかんと口を開けてました。


「カティア……か?」


 って、おそるおそる聞いてきたのです。

 僕は反射でこくりと頷けば、セヴィルさんが目元から順に何故かお顔が赤くなってしまいました。


「おいおい、いつもと違って化けたなぁ?」

「エディお兄様失礼ですわよ?」

「しょーがねぇだろ? 初日の着せ替えん時はここまで気合い入れたのじゃなかったし」


 今現在、僕の格好は子役モデルがドレスアップしたような感じになっています。

 ドレスは実はセヴィルさんが着せ替えの時に選んでた若草色のフリル満載のものを。手には絹の白い子供用の手袋で、宝石はクラウが覗き込んでたオパールのようなもののネックレスや雫型の同色のイヤリング。

 髪はいつも適当に流していたのを、三つ編みを何本か作ってツムジ下くらいでお団子のようにまとめたお姫様のような髪型に。

 それと、これまたクラウが遊んでたキラッキラッのティアラもつけております。

 お化粧はアイラインはなしで、チークとリップのみ。

 まあ、こんな感じですが……セヴィルさんがどうしてあそこまで真っ赤になられるのか全然わかりません!


「とりあえず、アナもだがカティアも座れよ」

「そうですわね」

「あ、はい」


 僕の席はどこだろうと思ってたが、いつも通りセヴィルさんの隣でアナさんはファルミアさんのお隣かと思えば僕の隣でした。

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