584.充実している
お待たせ致しましたー
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生地を均す。
ある程度整ったら、手に持つ。
パタパタと左右に移動させ、薄くしながら大きくさせていく。
その後に、ちょっと遊び心が生まれ……アクロバティックを取り入れちゃったり?
って言うのを、中層の厨房で披露したら拍手喝采されてしまった!?
「すごいわ、カティアちゃん!」
僕が生地を調理台に置くと、シャルロッタさんが駆け寄ってきてくれた。笑顔全開と言うことは、とってもすごいものに見えたのだろう。
まあ、異世界の調理技術にスポーツを取り入れたものだからね?
「ちょっとした遊びですが」
「あれが遊び? むしろ、演舞に見えたわ」
「間違ってなくないですね」
蒼の世界じゃ、一種のスポーツだったからね。僕は見様見真似で覚えた程度だったから、正式な演技じゃないけど。
「くっそー!? どうやんだ!!」
で、僕のピッツァ回しを真似てそこそこ会得したイシャールさんでも、こっちは難しいようだ。未経験者に簡単に会得されたら、僕でも流石に落ち込むけどね!
「ふゅふゅ!(ぼく、これ出来るー)」
けど、クラウは両手ピッツァ回しが出来るから、これは誰も真似出来ないけどね!?
「とりあえず、シャルロッタさんは普通のピッツァ回しを覚えましょう」
「そうね。ピッツァを作れるようになったら、食堂もさらに華やかになるもの」
今日ここに来たのは、ただピッツァを作りに来ただけじゃないからね。イシャールさんはほぼほぼ作れるようになっても、ひとりで回転数をこなすのは大変だから……僕がレクチャーしに来たわけで。
麺棒で伸ばすのもいいけど、シャルロッタさんも手延べで伸ばす方法を会得したいってお願いされたので、今日来たのです。
デザートはティラミス。
食事はピッツァ。
ちょっとずつだけど、イタリアン料理が異世界に浸透していくのも嬉しい。僕も僕で、自分で作れるだけで満足はしたくないからね?
いろんな人たちが作るピッツァを食べて行きたいもん。
「カティア!! もっかい……もっかい見せてくれ!!」
「はいはーい」
でも一番は、いつでも好きなタイミングでピッツァを作れる楽しさがあることだよね!!
家族になる云々の幸せももちろんあるけど……今の生活が充実し過ぎているんだもん。
セヴィルさんと一緒の部屋に住むかはともかくとして!!
そのあとは、イシャールさんは大苦戦し続けたがシャルロッタさんは普通のピッツァ回しはなんとか出来るようになり。
お昼ご飯を兼ねたまかないは、いろんな具材でピッツァバイキングを楽しんだよ!!
次回は土曜日〜




