566.最愛のプロポーズ
お待たせ致しましたー
◆◇◆
カチコチカチ。
そんな効果音が聞こえてしまうくらい、僕はきっと体がカチコチ状態になってしまっているだろう。だって、隣で歩いているセヴィルさんはいつも通りの涼しい表情だけど……内面はわからない。
僕やファルミアが予想している、『うっふんあっはん』を思い浮かべていたとしたら……セヴィルさんはむっつりかもしれない。そんなこと、大好きな人が!? と思うが、世間一般の健康男性であれば……誰もがそうなのだろう。セヴィルさんであっても。
僕のことを、すごく……すごーく愛してくれているのは、身をもって実感している。時々のキスがその表れと言わんばかりに。あれでも、きっとセーブしてくれているんだろうけど。
それでも、これからの『お話』でもし……それ以上の展開を求められたとしたら、僕は応えられるだろうか? 正直言って、怖さはあるけど嫌ではない。
セヴィルさんに触ってもらうと、ドキドキしてときめくし……体が熱くなるが、絶対嫌じゃない。むしろ……うれしい。
今も手を握っているとこから、セヴィルさんの熱さがダイレクトに伝わってくるけど……全然嫌じゃない。これもすっごく嬉しいんだ。
けど、何のお話なのか具体的に教えてもらえてないから……ちょっと不思議ではある。皆さんの前では言えないことって、何かあったのかなって。
とかなんとか考えていたら……目的地らしい場所に着いた。
例の洞窟だ。そこの入り口かと思ったら、奥に行くようでまだまだ歩き続けていく。暗いけど、セヴィルさんが魔術の明かりを出してくれたから足元が明るくなった。
(……どこまで行くんだろう?)
ずっと黙ったままだし、クラウはファルミアに預けたから他に会話する相手もいない。
でも、セヴィルさんの雰囲気とかは怖くないから、着くまで声をかけるのはやめておいた。奥へ奥へ歩いていくと、行き止まりが見えてきて……そこは、天井部分に穴が空いてて、下は小さな泉のように海水が溜まっているとこだった。
「……ここだ」
セヴィルさんがようやく口を開けて、僕に岸辺にいっしょに座るように手を引いてくれた。
並んで座ると、セヴィルさんは僕の手を恋人繋ぎにしてきましたぁ!?
「……ここで、今のカティアを見つけた」
お話がいきなり始まった。ドキドキが止まらないけど、きちんと聞こうと頷いた。
「こ、この体になった僕をですか?」
「ああ。別人過ぎて……本当にカティアかと最初は信じられなかった」
「サイズ、だいぶ変わりましたもんね」
アナさんくらいに身長と言うか、前世の僕のままなら163cmくらいはあるから……大き過ぎず小さ過ぎない身長だと思う。
それを言うと、セヴィルさんはなぜか苦笑いされた。
「それだけじゃない」
「へ?」
「美し過ぎて……本当に神霊かと疑いかけた」
「えぇえ?」
異色以外は前世の僕とほとんど同じなのに?
でも、ファルミアにも言われていたような……前世でも今でも僕は鈍ちんだって。ブスではないけど、フツメンだと思っていたから。
僕は空いている手で自分の顔をぺちぺち触っていると、セヴィルさんはそっちの手に大きな手を重ねてきた。
「美し過ぎて……理性が焼き切れると思った」
「ほえ?」
「カティアだとわかったら、触れたくて仕方なかった。だが、まだ今のカティアに告げていない事を思うと留まったんだ」
「い、言ってない……こと?」
理性云々で、男性についてのアレコレを思い出したが……少しずつ近づいてくるセヴィルさんの色香に当てられてしまっていた。
クラクラしてきて、頭の中もショート寸前。この人、絶対自分が超絶美形だってこと分かってない!?
「……お前と本当の意味で、御名手になりたい。あちらの言い方で言うなら……結婚してくれ。カティア」
美形云々がどうでも良くなるくらい、プロポーズされたんですけどぉ!?
今までの誓いだけじゃない。本当の意味でのプロポーズ!?
セヴィルさんには何回も言われてきたはずなのに、本気度が違う。
僕を……本当にお嫁さんにしてくれるって、真剣なプロポーズだったんだ。びっくりしたけど、僕の答えは……もう決まっていたんだ。記憶が戻ってから、ずっと。
「……はい。お受けします!」
だから、嬉しくて自分から初めてキスしちゃったんだけど……唇を合わせるものをしたら、お返しとばかりにディープなものをお見舞いされてしまいましたぁ!?
次回は木曜日〜