555.お互いに(サイノス視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(サイノス視点)
アナがちっとも来ないときた。
やっぱり、土壇場になって拒絶しようと決めたのだろうか?
恋仲になってはまだ日は浅いが……幼馴染みの期間の方が圧倒的に長い。あいつの考え方はそれなりにわかっているつもりだ。
母御以上に活発な性格だが、芯はか弱い女性そのものだ。昼間は頷いてくれたが……初めての経験に緊張が高まってきたくらい予想はつく。
無論、すぐ来るとは思っていなかったし……ここは俺が迎えに行くべきだったか?
今からでも遅くはない、すぐに迎えに行こうと決めて扉を開ければ『きゃっ』と聞き覚えのある声が聞こえてきたんだ。
「……アナ?」
あと少しでぶつかりそうだったが、扉の向こう側には待ち侘びていた存在が立っていた。手を上に上げていたと言うことはノックをしようとしていたのだろう。
お互い、しばらく見つめ合っていたが……ここは俺から切り出そうと口を開いた。
「……来てくれたのか」
そう聞くと、アナは髪色くらい頬紅を作り……小さくだが頷いてくれた。
「その……まだ気恥ずかしさはありますが」
「俺だってそうさ」
「え?」
「ん?」
「……サイノス様もですの?」
「……御名手の前からお前さんだけだったんだぞ? 他の女なんて見向きもしなかったさ」
そう言ってやると、藤紫の瞳をキラキラと輝かせて……俺の懐に飛び込んできたんで慌てて受け止めた。
「わたくしだけですのね!」
余程嬉しかったのか、心臓近くに頬擦りするとか……めちゃくちゃ可愛いじゃねぇか。加減出来るか怪しいぞ?
「……ああ。お前さんだけだ、アナリュシア」
「はい!」
ここからは部屋に入ってから続きをしよう。別にエディらは邪魔しないと思うが……念のため、な?
部屋に招き入れてから改めて抱きしめ、まずは濃密な口付けを贈ったのだった。
次回は土曜日〜




