546.経験ゼロも困りもの(セリカ視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セリカ視点)
信じられない事実を知ってしまったわ。
「……お姉様、本当なの?」
ビーチの端に連れ出されたかと思えば、相談内容が凄い事だったわ。私の愛するエディオス様の妹姫であり、敬愛するお姉様であるアナリュシア様が……御名手である私のはとこのサイノスお兄様に。
とうとう、夜のお誘いをしていただけたんですって!
びっくりしたけど、逆に『まだだったの!?』と驚いたわ!! だって、私とエディオス様よりも先に御名手の儀式を終えているのに……全然そんな関係じゃなかったのにびっくりするわよ!!
カティアちゃんは仕方がなかったけれど……サイノスお兄様、やっと? 結構奥手だったのね。いいえ、お姉様に気持ちを告げるのが去年だったから充分に奥手だったわ。
「そ……うなのだけど」
そしてアナお姉様。
お姉様はお兄様一筋だったから、教育は座学を受けていても実践はなかったらしく。閨事への経験が一切ない。だから、先にもう済ませている私への相談を切り出したのだろう。
「……お姉様、一ついいかしら?」
「な、なに?」
ああ、本当に可愛いらしい。サイノスお兄様が夢中になられるのもよくわかる。普段は統括補佐として凛々しくていらっしゃるのに、普段は恋する乙女と同じだもの。
これは、きちんと準備をしていかなくてはいけないわ。
「絶対、絶対これは忘れないで? 殿方の体力はそれはもう凄いの」
「え?」
「最初に煽る言い方だけど、『優しくして』って伝えて」
「……サイノス様はいつもお優しいわよ?」
「そうじゃないの!!」
お姉様は殿方の無尽蔵なくらいの体力知らないんだから!!
エディオス様だって凄かったのよ!? 私がいくら泣きべそかいても聞き届けてくださらなかったんだから!!
エディオス様よりも断然鍛えているサイノスお兄様との閨事よ!? 華奢な体つきのお姉様だなんて、食べられるだけで済まないわ!!
「そ、うなの? 殿方は……凄いの?」
「そうよ!! お姉様は魅力的な女性なんだから、サイノスお兄様はよく我慢された方よ!!」
「……我慢?」
「お姉様……そこはわかってあげて」
カティアちゃんならゼルお兄様だけど……あのお兄様も忍耐力は凄かったって聞いたもの。カティアちゃんの転生が無ければ二度と会えない運命だったのを、神の御意向で御名手となれた。
で、女性に対して興味全然だと思われてた冷徹宰相が形無しだもの。
サイノスお兄様も女性からの注目は高かったのを、アナお姉様が射止めたに等しいんだから!!
もっと自信持って!!
それと、御名手になったんだから知識は少し増やしておくべきよ!!
とにかく、今晩と言う流れは聞いたから……えげつないのも含めて私の経験談を話すことにしたわ。
次回は日曜日〜