537.まだ自分でも(イシャール視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(イシャール視点)
ピッツァの技術を会得したいだと?
あんの料理馬鹿ジジイ……俺にだって、まだカティアから全部教わってねぇんだぞ!?
よくてティラミス程度だ、作れても。ただし、ティラミスピッツァはまだ作れん!
焼くのはまだいいが、生地の仕込みに発酵がうまくいかねぇ……個人厨房で試作は繰り返しているが、まだまだ納得のいくものが出来ん。
カティアが城にいれば、即教えを請いに行きたいが……今はエディの生誕式典後の休暇について行っているから、いねぇんだ。だから、じい様だって中層に来たのは頷ける。
とは言え、作れないもんを勝手に作っていいわけがない!!
今日も今日とて、試作した生地は適当に薄焼きにしてパンがわりに食ったが。
(……全然出来ねぇ)
蒼の世界の知識は、途方もないくらい技術が発展している。
魔術がない代わりに、試行錯誤を繰り返して得られたものだ。
カティアは謙遜しがちだが、会得した知識は全て模倣でも一級品。
しかも、それを惜しみなく振る舞ってくれるんだ。ゼルの御名手である事実を公表したら……扱いがどうするかはエディ次第でも、カティアを悲しませなくない風には動くはずだ。俺だって、リチェルカーレの一員として手を貸さないつもりはない。
逆に、師として仰ぎたいくらいだ。
(……師か)
具体的な師に値するのは、さっき追い出したじい様だが。
それ以上に、フィーも居たしな? あいつは唯一の神だから、姿はずっと同じだが……これからもひとりだろうか。
俺ら人間よりも、はるか長く生きていく存在としてずっと。
その考えは一度振り払うことにして、再度乗り込もうとしてきたラディン姿のじい様を追い出すのに、気持ちを切り替えた!!
次回は月曜日〜