521.受け入れられて
お待たせ致しましたー
◆◇◆
「……か、カティ?」
一番最初に声を掛けてくれたのは、ファルミアだけど……僕の成長具合には一番目を丸くしていたんだ。
「……そうだよ。ファルミア」
「……色の違う、奏樹ね」
「やっぱりそう見える?」
まだ鏡とかで完全に見ていないから、手足とかが伸びた以外の実感がわかないんだけど。セヴィルさんもだけど、皆さん僕の成長具合にびっくりされているからね。
けど、奏樹の顔のまんまだと美人にはなっていないだろうなあ……って思ってたら、いきなり誰かに顔をぐいっと掴まれた。
「カティアさんですの!?」
アナさんだった。
藤紫の瞳をこれでもかと丸くされて……僕をじーっと見つめていたのだ。声を聞いても、子ども特有の高めの声じゃないから、信じられないのも無理はない。
だから、僕は首を縦に振った。
「はい、アナさん」
「まあ……まあまあ!! なんて可愛らしいだけでなく、お美しいですの!?」
「へ?」
「ええ。素敵だわ、カティアちゃん!」
セリカさんも頷くけれど……僕そんな美少女でもないような? って首を傾げていたら、ファルミアに軽く小突かれちゃった。
「カティは前世でも自覚無しだったもの。集る輩とかをスルースキルでかわすのもおてのものだったわ。客からもモテてたのに」
「……そう?」
「そこは今でも変わらずね? ゼルからは何も言われてなくて?」
「……な、い?」
「なんで疑問形なのよ?」
だって、起き抜けにいきなりキスされたんだよ!?
あれってつまり……『僕』だからって、わかってたからで……。思い出すと悶えてしまうのでこのくらいにしておこう。ちらっと、セヴィルさんを見るとほっぺが赤くなってた。
「けど、すっごく見違えたよ。カティ! これで堂々とゼルの御名手って名乗れるね!」
「……だなあ」
「神王としちゃ、俺はそれくらい許可するぜ」
「……あはは」
『僕』だと分かれば、皆さんいつも通りだ。それが何より嬉しい。
とりあえず、クラウから一旦降りたんだけど……背丈はアナさんとだいたい同じくらいまで伸びてた!?
「まあまあまあ!! 素敵な体つきにもなられて……お着替えの楽しみが増えましてよ!!」
「……お手柔らかに。そう言えば、フィーさんは?」
「あら? クラウにしがみついて行かれましてよ?」
「えぇ?」
クラウに声を掛ければ、首を左右に振った。どこかではぐれちゃったみたいなのかな?
「呼んだー?」
って、後ろから声をかけられたので振り返れば。
セヴィルさんも含めて、全員で『誰!?』と言い切るくらいの、黒髪美青年が立っていました!!?
次回は火曜日〜