519.お互い変わった
お待たせ致しましたー
◆◇◆
……クラウだなんて、最初信じられなかった。
だって、あのマスコットキャラクターのような、フニフニふんわりしたフォルムがカケラもないんだもん!?
がっしり、しっかりした体格の……馬みたいだけど、翼があるからペガサス?
そんなようなすんごいピッカピカの姿だったが、鳴き声と一緒に頭に響いてきた言葉は、たしかに僕のよく知ってるクラウだった。
「ふゅふゅ!(カティア! カティアだよね!)」
「……く、らう……?」
「ふゅ!(僕だよ! 創世神様達のお陰でおっきくなれたんだ!!)」
「……フィー……さん?」
「ふゅーぅ(ううん! おじいちゃん神様!)」
今ここでは僕しか、クラウの言葉を理解出来ない。
だから、クラウの言葉にはびっくりしたんだ。あのおじいちゃん神様は……僕だけじゃなく、クラウにも何かしてあげたことに。
ふらふらと手を伸ばそうとしたら、セヴィルさんが抱っこしてくれて、クラウの方まで運んでくれた。
「おじいちゃん……神様が?」
「ふゅ!(うん! カティアのためにって!)」
「……もう。あっちに戻れないの?」
「ふゅぅ……(わかんない)」
「……わかんないか」
「……ひとまず、エディオス達のところへ行こう。皆心配しているはずだ」
「……はい」
と言うことで、クラウの背中に僕らはつかまって洞窟から出ることになった。クラウは僕を気遣って、ゆっくり向かってくれたんだけど……途中で、エディオスさん達が走ってきたから、僕達は合流することが出来た。
それなんだけど……皆さん、お口をあんぐりと開けているのが魔術の灯りの下でよく見えて、ちょっとおかしかった。
仕方がないよね……? 僕、本当の意味で異世界転生が完了しちゃったんだから。
ただ一点。
フィーさんだけが、どこにもいなかったのだった。
次回は水曜日〜