516.御名手のかけつけ(セヴィル視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セヴィル視点)
どこだ!?
どこだ、カティア!!
探しても探しても……御名手の繋がりを辿ろうにも、焦ってうまくいかない。
クラウもいないから、前回のように守護獣との繋がりも使えない。
闇雲に探していたら、後ろから何故か蹄の叩きつける音が聞こえてきた。振り返れば、そこに居たのは……金の翼を持つ馬型の聖獣が俺の方に駆け寄ってきていた?
「……なんだ?」
どこか見覚えがある気がするが、その聖獣を目にするのは初めてであるのに。安心出来る気持ちが湧いて出てくる。まさか……と、俺の前で止まった、その聖獣に声をかけてみることにした。
「…………クラウ、か?」
「ふゅぅ!」
馬の嘶きではない、いつものクラウの鳴き声だった。何を言っているかまではわからないが、自分がクラウだと伝えたい気持ちはわかった。
「……何故、そのような姿に?」
「ふーゅ」
問いかけてしまったが、カティアとフィルザス神以外はクラウの言葉を理解することが出来ない。聖獣とは違い、クラウは神獣だ。守護獣の主人の許可を得て可能にする念話などをすることが、今は出来ない。
とりあえず、誇らしげな顔をしているようなので『なった』程度しかわからぬが。
「……俺を背に乗せれるか?」
「ふゅ!」
「カティアの場所がわかるのは、お前だけだ。連れて行ってくれ」
「ふゅふゅ!!」
翼を広げて、乗りやすいようにしてくれたクラウに乗ると、クラウはすぐに走り出した。手綱も何もないので、慌てて首にしがみついたのだが……前がよく見えないほど速く駆けていくのに驚いた。
成長したばかりだろうに、クラウの順応の速度は速い。
これなら、すぐにカティアが見つかるだろうと、落ちないように前を向いたら……次第に奥が明るくなっていった。
(カティア! そこに居るのか!?)
明るさと、カティアが呼んでくれたような気配を感じたので……俺はクラウに急いでくれと伝えてから、しっかりと掴まった。
そして、開けた場所に着いたのだが。
「……カティア?」
「ふゅぅ?」
魔鉱石の輝きと陽の光が織りなす場に到着はしたのだが。
小さな岩場には、カティアにしては身体が成人体にしか見えない金髪の女性が倒れているのしか見えなかった。
少し信じられなかったが、その女性を起こそうと……俺はクラウから降りて駆け寄ったのだった!!
次回は月曜日〜