513.しがみついて(フィルザス視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(フィルザス視点)
カティアが消えた。
同時に、クラウが神獣として異常な成長の仕方を見せた。
勢いで洞窟に飛び込んでいくクラウに、僕は慌てて胴体にしがみついて付いて行ってしまったけれど。クラウは勢いを止めなかった。
「ふゅふゅぅ!(カティアー!)」
守護獣として、契約者の安否を確かめたいのはもちろんだけど……この異常な成長はなに? 中途半端のような前回とも違う、完全体に近い馬のような姿。角とつばさはあるけれど……レイ兄様が言ってた、ペガサス?
一角獣には似ているけど……つばさもって有りなの?
とりあえず……落ち着かせないと!!
「クラウ! ただ突っ走るだけじゃ、カティアの居場所わかんないでしょ!?」
「ふゅ!?(創世神様!?)」
「……僕に気づいてなかった?」
「……ふゅぅ(ちょっと)」
と言って、やっと止まってくてたんだけど……ちょうど目の前に、饕餮達が怯えた表情で立ってたから、止めて正解だった。
「……大丈夫?」
「「……なんとか」」
ってことは、蒼の世界風に言うなら、ギリギリセーフってこと?
ぶつからなくてよかったけど、軽くクラウに小突いてからセヴィルの事を二人に聞いたんだけど。
「恐ろしい……形相のまま、奥に駆けて行きました」
「それ以降は帰って来ず」
「わかった。僕らが行ってくる。二人は表に出てて」
「「御意」」
奥……が正解かはわからないけど、なにも頼りがないわけじゃないんだ。
カティアはじい様の仕業かもしれないけど……なんで、遊んでいる機会を使うのかなあ?
それだけ……切羽詰まってるってこと?
その考えに至ると、僕の胸の内が音を立てて跳ねた!?
(な……に!?)
痛いとか苦しいはないけど……どんどん、どんどん鼓動が高まっていく。
目を開けていられなくて、クラウに倒れ込んじゃったから、クラウは止まってくれたんだけど……僕はそのまま動けなかった。
そして……気がついたら、真っ暗闇な空間に金髪の男が立っているのが見えたんだ。
「……じい様」
青年体をとっているけど、その男はたしかに僕ら神の祖父神だったのだ。
次回は土曜日〜