512.おじいちゃんの説明
お待たせ致しましたー
◆◇◆
嬉しく思っていると、イケ……おじいちゃん神様は、また嬉しそうに笑っていた。
「しかしまあ……時間がかかったのは、お主だけでなく他の要因もある」
「他ですか?」
なんだろうと思っていると、僕から離れたおじいちゃん神様も湯呑みのお茶をひと口飲んだ。
「世界の共有じゃよ」
「……共有?」
「フィーの黑と対を成す世界との共有じゃ。神じゃから、親子はないが兄妹と婚姻を結び……世界の安定レベルをどうにかするのは、儂らには普通なんじゃよ」
「……おお」
スケールはでかいけど、神様だからって聞かされたら納得がいく。つまり、フィーさんはご兄弟の……お姉さんの誰かと結婚するのかな? 黒髪美女のサフィーナさんかなあ? 考えていると、おじいちゃん神様はニコニコされていた。
「お主の考え……おそらく、それはハズレじゃ。フィーにはずっと赤児だった妹と婚姻を結ぶ」
「……赤ちゃん? ですか?」
「もちろん、成人体にはすぐに成長するじゃろう。今別の世界で慣れさせておる。その子をフィーと引き合わせるのに、まあ色々頑張っておったのじゃ。じゃが、お主への対処もほっぽっておいたわけではない」
「……そうなんですね」
それで、時間はかかったけど……少し体が大きくなったりしたのかな? おじいちゃん神様に聞いてみると首を縦に振ってくれた。
「そうじゃ。儂がお主に与えた神獣……クラウか。あれもいくらか成長を得た。そろそろ迎えに来る頃じゃろう」
「クラウが?」
僕を迎えに……きてくれる?
けど、ここは正確には洞窟の中じゃないからどうやって来るんだろう?
それに、セヴィルさんも大丈夫なのか心配になってきた。あと、他の皆さんも。
「ほっほ。安心して良い。器と魂の安定……ゆっくりとほぐそう」
また指を鳴らすと……僕の体がゴキゴキ言い出した!?
それと……めちゃくちゃ痛い!!
痛過ぎて、おじいちゃん神様の姿がぼんやりとしか見えないし、すがることも出来なかった。
(い……ったい!!?)
あの時と同じ痛みかもしれない。
僕と彗が殺された……ナイフで刺された時の激痛みたいに。
ぎゅっと、体に腕を回して痛みをやり過ごそうとしたんだけど……痛みは相変わらずで。
そして……何故か、白い空間に移動させられた時と同じように、水の中に落ちた!?
慌てて沈まないように動いた時には……もう痛みはなく。すぐに水から出た時は、空間じゃなくて岩の天井が見えて。隙間から日差しが差し込んでいて、外の明るさがはっきりと見えた。
次回は水曜日〜