508.再びの焦り(セヴィル視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セヴィル視点)
カティアが、消えた。
手をにぎっていたはずなのに、何かにつまずいたのかと振り返ったら……姿形すべてが消えていたのだ。
「……カティア?」
あちこちを見ても、魔鉱石を眺めている姿も何もない。
まるで、そこに存在していなかったかのように……何もなかった。俺だけしか残されていなかったのだ。少し戻っても、気配も何もない。
「カティア!?」
これはおかしい。カティアが俺に何も言わずに、距離を置く女性でないのは知っている。御名手と言う理由もだが、俺と心を通わせた関係から……無断でなどという手段に移すことがまずない。
俺はまず、少しの望みをと走って先に進んだのだが……四凶の一体が居るだけで、カティアはやはりそこにはいなかった。
「……いかがした?」
四凶は俺の焦りを知らぬから、不思議そうに問いかけてきた。その問いに、やはりカティアは俺より先に進んでいないことが確定出来たが。
「……カティアが消えた」
「……なに?」
「こちらに来ていないのであれば……またさらわれたかもしれん」
「……気配は感じなかったが」
「俺だって信じたくない」
しかし、何があってからでは遅い。
俺は四凶に遊戯は中断することを伝え、さらに奥に足を向けた。魔法省の人間で、現在はカティアの家庭教師となったカイツと同じ仕業にしては、術が鮮やかすぎる。陣も詠唱何もなく、存在をかき消すなど……神の仕業か?
フィルザス神にしてはおかしい。行使する意味がないからだ。今回のバカンスをあれもそれなりに楽しみにしていたからだ。もしくは、レイアーク神? クロノソティス神か?
なんのために? カティアを?
何をするつもりなのか?
四凶の残りともすれ違っても、俺は足を止めずに奥へと足を動かしていくしか出来ない。
もう、二度と。
以前なら諦めていた、カティアとの繋がりを……もう一度断たれるなどごめんだからだ!!
次回は金曜日〜