496.ことさら愛おしい(セヴィル視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セヴィル視点)
愛しい……。
愛らしい……。
日を追うごとに、カティアを愛しく想う気持ちが溢れ出てくる。
アナらと水着を選んだとは言え。
身内だけでも。
この場に、カティアの愛らしい水着姿を目にする者はいる。
俺の腕の中に、閉じ込めておきたいくらいの……愛らしさ。
俺がかつて、惚れた時の幼児よりだいぶ成長しているからこそ。
より一層、愛らしく見えるのだ。
まろびた曲線まで、いくらか整っているため。
強調する部分がいくらかある。
フィルザス神や四凶以外は御名手がいるとは言えど。
この愛らしい姿を晒したくない。
それと、カティアからも俺を褒めてくれたこともあり。
感極まって……抱きしめてしまった。
口付けだけは、出来るだけ耐えたが!
「……あまり、俺を焦らせないでくれ」
あわあわなどと、慌てている様子のカティアも愛らしいが。俺の本心を告げても、『ふぇ!?』と声を上げるだけ。
どうやら、俺の忍耐を試した自覚がないようだった。
「ほ、褒めただけですよ!?」
「……愛らしい顔をしていたからだ」
「ふ、普通です!!」
「……俺にはそれ以上だ」
ただでさえ、宮城内ではそれなりに人気があると知らないカティア。
セリカは、将来的な神王妃ゆえに除外せざるを得ないため。
愚かな男どもの期待が……カティアに向いているのを、本人は知らない。
わざわざ、俺が知らせるつもりもないが。
「と、ととと、とりあえず!! 戻りましょうよ!!」
カティアはまだ触れ合いに慣れないせいか。特に人前だから余計に恥ずかしいのだろう。
仕方ないので、腕を離せば……バシャバシャと岸まで泳いで行ってしまった。なかなかに早い。
「……泳ぎも得意か」
わずかな異界渡りをした……あの時以降を知らないのも当然だが。
もう、二度と会えない虚しさは……今はない。
一度死んで、転生させられたにしても……カティアはカナタと同じだからだ。
身体はともかく……魂は。
見惚れてた俺が、あまり言えた立場ではないが。
そのあとは、ぶつかってきたクラウを抱えて……岸に戻ることにした。
次回は木曜日〜