475.この子どうしよう
お待たせ致しましたー
赤髪の小さい男の子。
僕らが囲むように立つと……フィーさんがやっと床に下ろして、ぺたんと座り込んだディシャスらしい子は、しゅんと肩を落とした。
「……あー」
口はうまく動かないので、小さな子供と同じだ。
けど、フィーさんにはわかるのか……拳骨まではいかなかったけど、軽く脳天をぐりぐりし出した!?
「なーにーしーてーんーのーぉ!?」
「あ!?」
ディシャスは痛がっているらしいけど、僕やイシャールさんは割り込めない。
何というか、フィーさんの気迫に圧倒されて……割り込めないのだ。
「……マジで、ディシャスだな」
フィーさんがまだぐりぐりしているので、イシャールさんはご自分の魔眼でディシャスが変身しているのを再確認されたよ。
「……僕には普通の子供にしか見えませんが」
「……多分、変幻の一種だ。上級種であれば……厩舎の聖獣らに習えば出来るだろう。こいつ、エディの守護獣だから……一応そこの長だしな?」
「……ディシャスが偉い存在?」
「そ」
クラウのとこまで案内してくれた、恩人? ではあるけど……神域に行った以来会ってなかったから、寂しかったのかな?
僕も会えるのは嬉しいけど……変身してまで来てくれるとは思っていなかったよ。
「ふゅぅ(お兄ちゃん大丈夫?)」
クラウも心配そうだったので、仕方ないからフィーさんとディシャスを離すことにした。
イシャールさんも手伝ってくれたので、何とか出来たけど。
僕はディシャスを抱えてあげたんだけど……僕に気づくと、ディシャスは振り返ってぎゅっと抱きついてきた。
「カー!」
「……本当にディシャス?」
「う!」
「……僕に会いに来てくれたの?」
「う!!」
こくこくと首を縦に振るので……本当のようです。
とは言え……僕は皆さんとお仕事中だ。
エディオスさんは多分この状況知らないだろうし……ディシャスをどうしよう?
じっとしてくれれば……厨房の隅っこで座っててくれるかな?
難しい課題だ。
「……いーい? ディシャス」
僕は、ディシャスを少し離して……膝を曲げて視線を合わせた。綺麗なエメラルドグリーンの瞳は、大きなディシャスと同じだ。
「う?」
「いい子にしてて? 美味しいもの食べさせてあげるから」
「うー?」
「普通のご飯じゃないよ? 特別なの」
「あ!」
嬉しそうな笑顔になったから……とりあえず、いい子にはしてくれそうだ。
フィーさんとイシャールさんは、仕方がないと大きなため息吐いちゃったけど。
このまま、厩舎に戻したら……また同じ方法で脱走しそうだものね?
次回は木曜日〜