473.目立つ(ディシャス視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ディシャス視点)
竜種の巨体とは違い、靴とやらのとてとてとした音しか聞こえぬ。
カティアに会いに行ったあの時は……まあ、強引ではあったが。
この姿なら……いくらかは怪しまれぬだろう。
注目とやらは集めてしまっているが。
「「「「「可愛い〜〜!!?」」」」」
と、ヒトの子らには……どうやら愛らしく写っているらしい。かなり赤子ではないが……カティアよりも下くらいか?
ヒトで言う50歳程だろうか?
やはり目立つらしく……このままでは、カティアの元へ行けぬのではと思っていると。
何かに、身体を浮かされた。
「……どこの子供だ?」
男の声だ。
主ではない。主が来たら式典期間中ゆえに、色々問題があるが。
しかし……聞き覚えのある声だ。
たしか……風の噂では、主の妹君と御名手になったと聞く。紫の髪と顔の傷跡が勇ましい男。
我は抱き上げられたようだが……男の正体は『サイノス』だった。
「サー!」
名を口にしようとしたが、どう言うわけじゃ厩舎でもまともに言葉を紡げず……赤子のようになってしまう。
だが、効果があったのかサイノスは目を見開いた。
「……俺を知っているのか?」
「う!」
知っているとも。
我がこの城に、主より連れて来られてからずっとだからな?
守護獣であるラージャとは、区画が違うゆえに最近はあまり会えていないが……彼奴の主人であるからこそ、知ってはおるぞ?
神域に行く以来だが、今日も元気そうであるな?
しかし……拙いとは言え、名を呼ぶのはいけなかったか?
「「「「「将軍のお子ですか!?」」」」」
「違う!!」
「あー!」
周りの者が興奮気味で言ったが、我もサイノスも即座に否定した。
たしかに……我の髪は妹君の赤毛に近いが、断じて違う!!
カティアに会いたいために、このような姿となっただけだ!!
「……とりあえず、保護用の区画まで連れていく。あまり騒ぐな」
と、サイノスが言うので……我は嫌な予感がした。
このままでは、カティアに会えぬ気がしたのだ!
ならば、とサイノスの腕の中から飛び降り。
カティアの気配を探しつつ、駆け出した!!
「お、おい!?」
すまない、サイノス。
擁護は有難いが、カティアに会えぬのがもっと辛いのだ。
気配は上の階層だったが、幼子でもヒトではないので……ヒトの波をかき分けて。
上に行けば……さらにヒトは多いが、とても良い匂いがした。
「……あー」
なんと、香ばしい。
良いの匂いなのだ。
この先に、カティアがいるのだろうか?
そう決めて、我はさらに進んだのだ。
次回は金曜日〜