表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十五章 異界の夏に向けて
458/616

458.ツッコミ親友の前世-②(ファルミア視点)

お待たせ致しましたー








 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)









「けーい!! ピッツァ回しの練習しよ!!」



 カティ……奏樹(かなた)だった、あの子は。


 とにかく……元気いっぱいで、底抜けに明るくて。


 料理……特に、ピザ……ピッツァ作りについては積極的で。


 私……『(あたし)』の何倍も、仕事には一生懸命に取り組んでいたわ。



「また? 飽きないわねぇ、あんたも」

「まあ。大会には出れないけど……出来なくて損はないよ? ぼ……私もお客さんの前でパフォーマンスしたいし!」

「また『僕』になりかけているわよ」

「……だって、社会人になって矯正するの難しいー!」

「ほんとにねぇ」



 あたしは……奏樹の近くに居られれば、なんだって良かった。


 隣にいないと……なんか、調子が狂うかなんと言うか。


 仕事も……選り好みする主義ではなかったし。ちっちゃい頃から、この子と一緒じゃなきゃ……自分らしく過ごせないと、固執したこだわりを持っていた。


 進学や進路も。


 自分の意志だけど、奏樹の側じゃないと……息がし難いと思って。


 就職先まで……全部一緒にするまで、努力した。


 ただ、ぽやんぽやんしているところが多いので……色々ツッコミするから『ツッコミ親友』とか呼ばれたりしたけど。



「明日も頑張ろうね!」



 仕事が終わるたびに、奏樹はいつもそう言う。


 学校とかでも、同じことは言ってたけど。


 奏樹が言うと……不思議とやる気が出てくるのよね?



「……そうね。また明日」



 あの日もそう。


 奏樹と帰り道で別れた時も。


 次の日が同じようになることを願っていたのに。


『あたし達』は……無差別な犯罪者によって、殺されたのだ。


 あたしは……奏樹のすぐ後。


 あの子が、息絶えたのを目の前で見た時……狂ってしまいたいと思ったが。


 犯人には、なにも報復することが出来ず……逆に殺された。


 その記憶が……今、クロノソティスによって、戻されたのだ。



『……思い出せた?』



 フィーと同じ顔の青年は……あたし……『私』がすべての記憶を戻されても、ただただ微笑んでいるだけだったわ。



『……ええ。思い出せたわ、すべて』

『……それでも、君はどうする? カティアには』

『決まっていてよ』



 リースの隣にいることで……執着心の矛先は変わった。


 もちろん、『カティ』と呼んでいる『奏樹』も大事に変わりないけれど。


『私』は『私』……ヴァスシード国の王妃よ!!


 そこは履き違えないわ!!

次回は火曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ