452.中層ピッツァ指導
お待たせ致しましたー
◆◇◆
とは言え、いきなり誰もかれもが出来る白もではないので。
「いいですかー?」
僕はその日。数ヶ月前に作り直してもらった、ブルーのコックスーツを身につけて……中層厨房に来ていました。
理由はもちろん……ピッツァ作りを指導するためです!!
僕はまず……料理長、副料理長のイシャールさんとシャルロッタさんお二人に、簡単な生地の伸ばし方を伝授しているところ。
手のべではなく……麺棒で薄く均一に伸ばす方法だ。
さらに、これを一度窯で焼くために。
「……随分、前のとは違うのね?」
シャルロッタさんの前で作るのも久しぶりなので、驚かれるのも無理ないかも。
「今回は、提供の速さ第一ですからね? なので、事前準備をメインにしようかと」
「事前に?」
「僕以外だと、まだ手で伸ばせませんよね?」
「ええ」
「おう」
ご自分の力量を把握されているのは、大変良いお返事です。
「ですから……生地をあらかじめ軽く焼いちゃいます!」
「んだと、二回目焦げねぇか?」
「そこはイシャールさん達の腕の見せどころでは?」
「……わかってんじゃねぇか?」
その気にさせるのは、料理人さんなので実にわかりやすいです。
「とにかく、多くの人に提供しますからね? 事前に焼いたのにソースや具材を載せて、カッツが溶ける程度に焼けば完成ですし」
「たしかに……カティアちゃんじゃなきゃ、普通のピッツァは難しそうだものね?」
「もちろん、僕も出来る限りお手伝いしますよー? 大量生産だとこの方が効率いいので」
あと、初心者には多い生地の『破け』が少しでも減るからって理由もあります。
僕も前世では苦い思いをたくさんしたよ……修行時代は、ピザ回し用のタオルで何度も何度も練習したものです。
イシャールさんに、一度挑戦してもらいましたが……見事に、天井にひっついちゃったんだよね? それはフィーさんも同じでした。
「……たしかに、これならたくさんピッツァ食べれるもんねー?」
フィーさんは、ただいま生地の時間操作をパパパっとしていただいています。適材適所は大事ですよ?
「定番のマトゥラーソース。変わり種でジェノベーゼ。オーラルソースもいいですし……具材はとにかくなんでもありです!!」
「……ほんと、無限にありそうだな?」
「しかも、手づかみだけでなくナイフとフォークでも食べられる。……あの味が忘れられないわぁ。シェイルには、かーなーり、説教しておいたわよ?」
「は……はい」
シャルロッタさんのお説教は怖いので……僕も極力怒られたくはない。イシャールさんも婚約者さんが相手でも怖いからぷるぷるしていました。
「と……とにかく、練習だな? まずは生地の伸ばし方だろ?」
「そ……そうですね。手のべは慣れないと時間かかりますし、麺棒でも充分ですから」
試作とかは、中層のまかないに回すとのことなので……最初の一、二枚以上はどんどん焼いていきます!!
次回はまた明日〜