438.従兄弟と恋事情(セヴィル視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セヴィル視点)
……悪寒がしたような気がした。
寒気などは感じないから、風邪ではないと思うが。
(……気のせいだろう)
とにかく、今日も執務の日々だ。
エディオスを少し見たが、黙々と書簡などに目を通しては……印を押すのを繰り返していた。
セリカと御名手となる前なら……いくらか適当で脱走などを試みたりしていたが。
セリカと御名手となり……あと数ヶ月先に、婚姻を迎えることが決まった今では、奴は生まれ変わったと言うくらい変わっていた。
政務にも意欲的であるし、サボる様子が見られない。
やはり……神王妃を得ることが出来たのが大きいのだろう。
妹のアナも、サイノスと御名手となり……婚約したのだから。色々あった不安などは落ち着いた。
俺自身は、カティアと言う存在が……記憶なども戻り、実は転生者と言う真実を知ったが。慈しむことは今も変わりがない。
記憶などが戻っても……クラウが成長した以降の一度だけ、身体の変化があっただけだが。
幼児より多少マシではあっても……まだ妙齢の女性には程遠い。
それでも非常に愛らしく……俺は暴走しかけたが。
今でさえあれだけ愛らしいのに……セリカと同年代にまで身体が整えばどうなるのか。
俺は、自分を律する自信がなかった。
(……今は仕事だ)
そのカティアとは、日々ささやかな幸せを育んでいる。
共に茶会をする事とか……少しずつ、触れ合うとか。
後者は、カティアが恥ずかしがってしまい……ほとんど抱きしめるだけとなっているが。
「ゼル?」
いきなりエディオスに呼ばれたが……何か不思議そうでいた。
俺か? と手元を見れば……書簡を逆向きにして読んでいたのだった。
近侍らは書簡の配達らでいないので、そのような失態を見せずに済んだが。
「……すまない」
「いや……いいけどよ」
寄越せ、と手を差し出してきたので俺はそちらに足を運ぶ。
「……腑抜けか?」
「そうは思わねぇよ。カティアんことだろ? だいたいは」
「……お前達は、どうなんだ?」
「俺? セリカとか?」
「……ああ」
「そりゃもう! めちゃくちゃ愛してんぜ!!」
婚約して数ヶ月経っているから……すべきことはしたのだろう。
非常に羨ましいが……カティアには無理をさせたくない気持ちもきちんとある!
「……そうか」
「ゼルだって、出来る範囲はしてんだろ?」
「……………………本当に、少しだが」
「…………キスとハグくらいか?」
「…………笑いたければ、笑え」
「……いや、よく我慢出来んな?」
「……負担はかけたくない」
まさか……従兄弟とこのような語らいをする日が来るとは。
フィルザス神の導きもあるだろうが……クロノソティス神やレイアーク神の導きも重要だ。あの二神がいなければ……カティアは、今がなかった。
次回は木曜日〜