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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十四章 異界の春へ
435/616

435.クラウの食べ方

お待たせ致しましたー

 出来上がったら、クラウがすぐに飛びつこうとしたので……僕はキャッチして引きずるように離して。


 何度も何度も『皆さんと食べるまで我慢!』と注意したのだった。


 言葉がちゃんと通じるようになったクラウは、以前と同じように『ふゅぅ(はーい)』と返事はしてくれたけど。



「ま。クラウがはしゃぐくれぇに美味そうだしな?」



 揚げ加減がわかったイシャールさんは、次々にパンツェロッティを揚げていく。その間に、僕はもう一度クラウに注意してからお皿を取り出して出来上がったのを盛り付けていく。


 目印は仕上げの段階でつけたから、どれがどれかもちゃんと分かるよ?


 クラウには出来るだけたっぷり、あとは均一に。


 全部準備が出来たら、イシャールさんがワゴンに乗せたそれらを押して食堂に向かうことに。



「お待たせ致しましたー!」



 皆さん、チェイルとかで暇つぶしされていたようだけど。僕の声にすぐに振り返ったら、フィーさんが指パッチンですぐに消しちゃったんだよね?


 誰も文句言わないからいいんだろうけど。



「わーい! 久しぶりに揚げたのだー!!」



 フィーさんはご機嫌さんに、席に着くと……早く早くと言わんばかりに爛々と目を輝かせていた。


 たしかに、パンツェロッティを振る舞うのも随分と久しぶりだもんね?



「おい、フィー? 俺らも食えるが、ほとんどはクラウのためだろ?」

「ふゅぅー!(サイノス〜!)」

「お?」



 クラウはサイノスさんが大好きだから、自分のことを話題に出してもらったのが嬉しくて飛びついていった。


 微笑ましいくらい、仲良きかなってほっこりするよ。



「んじゃ、食おうぜ!」



 エディオスさんも我慢出来ないのは相変わらずのようで……今回も紙に包んだパンツェロッティが目の前に来たら、すぐに手に持ったんだよね? そこそこ熱いのに、あんまり気にされていないみたい。


 まあ、他の皆さんもほとんど同じだったけど。


 僕もいただきますをしてから、戻ってきたクラウに……クラウサイズに作ったパンツェロッティを紙に包んで持たせてあげた。



「いーい? クラウ」

「ふゅ?(なーに?)」

「クラウはちょっと大きくなっても、まだ赤ちゃんだから食べ方には注意しなくちゃ」

「ふーゅ?(僕、赤ちゃん?)」

「卵のまま育った期間は違うからね?」

「ふゅぅ(そうなの?)」



 自覚無し赤ちゃんにはきちんと教えなくちゃ。



「カッツの伸びはすごいし、ソースはどろっとしてるから……ゆっくり、よく噛んで食べてね?」

「ふゅぅ!(わかったー!)」



 と言って、パクッとかぶりつくと……カジカジとゆっくり、パンツェロッティを食べ始めた。


 一個もそこそこ大きいから、すぐに食べられないと思ったら……本当に、ゆっくり食べていたのに、リズムがだんだんと早くなっていき。


 あっという間に、一個食べ終えた!?



「は……早」

「ふゅぅ?(カティア〜、こっちも食べていーい?)」

「……いいよ」

「ふゅふゅぅ!(わーい!)」



 そして……本当に同じリズムでどんどん食べていくから。


 僕もだけど、ほとんどの人はクラウに釘付けになって……自分の食べる手を止めてしまうくらいだった。


 けど、少しずつ慣れてはきたので……僕もお腹空いていたから、パクッと食べることにしました。

次回は火曜日〜

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