429.狭間の神と再会
お待たせ致しましたー
「……あなたは」
奏樹の記憶にもあった……フィーさんをもっと大きくした男の人。
その人の名前は、たしか。
『記憶はまだうまく、取り込めていないかな? クロノソティス……君は、昔『クロノお兄ちゃん』って呼んでくれたけど』
「……クロノ?」
その名前は……今のカティアの名前、ミドルネームに含まれている名前だ。
セヴィルさんが、御名手の儀式の時に……僕から引き出した言葉だって言ってたけど。
この人が……ううん、『神様』がきっと引き出させたんだ。
『そう。僕は狭間の神。どの異界にも存在しない……流浪の神』
フィーさんと同じ顔なのに、フィーさんより穏やかな口調だから……ちょっと慣れない。次第に慣れてはいくだろうけど。
「……僕は、一度……死んだんですよね?」
フィーさんの口からは聞いたけど、この人にも確かめておきたかった。
『……うん。それは決まっていたことだった。……君が、フィーの世界に行き、御名手と再会するためには』
「……セヴィルさんの、ため?」
『君が知っている……もう一人の転生者もだけど。魂が命の終わりをしなければ……次の生は得られない』
「……ファルミアさんも?」
ユティリウスさんと、夫婦になるためには……転生しなくちゃいけなかった。
けど……僕とは違い、きちんとした転生ではあったけれど。
『君の場合は……一から転生させると時間がかかる。だから、僕やじい様が力を補填した器を創ったんだ。それが今の……君の身体』
「……少し、大きくなったのも?」
『そう。ま、セヴィルがベタ惚れするくらいだからね? 今も昔も』
そう言って、ふふっと笑う顔は……フィーさんと同じだった。
「…………そう、ですね」
たしかに……十歳程度と今の十三歳くらいでも。
セヴィルさんの恋心には、ダイレクトアタックされたのか僕を大好きでいてくれるから……!!
この前のファーストキスを思い出しただけでも恥ずかしい!!?
次回は金曜日〜