428.奏樹の安堵
お待たせ致しましたー
◆◇◆
大丈夫……大丈夫。
痛かったけど……今は全然、痛くない。
僕らは……生まれ変われた。
大好きな人達の側に、生まれ変わることが出来たんだから。
たくさんの神様にも、大好きな人達にも……たくさん助けてもらったんだ。
だから……『僕』。
泣かないで。
苦しまないで?
僕らは……もう大丈夫なんだ。
僕は、『僕』をぎゅっと抱きしめてあげた。
痛がっていて、血もいっぱいだったけど……僕は気にせずに抱きしめてあげた。
少しずつ……嗚咽が消えていくのがわかってから。
僕は『僕』の顔を見るのに、少しだけ体を離した。
『……お姉ちゃん、誰?』
血だらけなのは変わらないが、『僕』は僕の顔を見てくれた。数年大きくなったのか……二十歳の僕なのかはわからないけど、自分自身だとはわからないようだ。
「……僕は、君だよ?」
『……僕?』
「いつかの、君。泣かないで? 絶対大丈夫だから」
『……ほんと?』
「うん」
強く頷いてあげると……『僕』は僕に抱きついてきて、溶け込むように光の粒になって……消えたのだった。
そして……気がついたら、僕は。
いつかの記憶……子供の大きさのセヴィルさんと出会った場面を見ていたのだった。
(か……可愛い!?)
さっきの殺伐とした記憶とのギャップがあり過ぎて……大好きな人の子供時代の姿と記憶に、僕は胸がキュンキュンとしてしまった!!
触れたくても触れないけど……レイアークさんと、フィーさんそっくりの神様を見た後には……『僕』が、どれほどセヴィルさんを大好きなのか……心に響いたのだ。
二つの『心』が重なり合い、大好きな気持ちから『愛する』ものに変わるのは、そんなにも時間がかからなかった。
実感した後に……記憶から目が覚めると思いきや。
『僕』と出会ったのとは違う、真っ暗な空間にまた出てきたのだ。
『やあ、久しぶり?』
フィーさんによく似た声。
振り返れば、記憶にあったフィーさんを大きくしたイケメンさんが立っていた。
フィーさんと違うのは……目が今の僕と同じ、虹色だったこと。
次回は火曜日〜