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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十四章 異界の春へ
426/616

426.とうとう知る-③

お待たせ致しましたー


「……わかった。出来るだけ戻してみるけど、辛かったら、すぐに教えて」

「はい」


 僕が強く頷くと、フィーさんは僕が握っていた手をほどき……今度は僕の両手を自分の手で包み込んでくれた。


 そのあとに、僕らには聞き取れない呪文を唱え……だんだんと、僕の意識が遠のいていく。


 遠のくにつれ……意識が、真っ暗になった。


 ここはどこだろう? と思っていると、聞き覚えのある声が……僕の耳に届いた。


 慌てて探すと、暗い闇が少しずつ晴れてきて……暗いは暗いけど、街灯か何かで少し明るい。


 まさか、と歩いてみると……僕は空を飛んでいるようだった。夢の中だから、なんだって出来ると思ったりはしたが。


 とにかく、声を頼りに目的地に向かうと……いたんだ。


奏樹()』の姿が。


 街中を、くたびれた様子で……黑の世界にトリップ、ううん、転生する前の姿。二十歳の調理人見習いの僕の姿が……ちゃんとあった。


 ここは……夢ではあるけど、僕の『記憶』だ。


 ここから先……僕が何で『死んだ』かをきちんと自分で確かめなきゃいけない。


 僕は誰にも見えないようだから、遠慮なく『僕』に近づけられるけど……それは、すぐに起こった。



「きゃああああああああああ!!?」



 女の人の叫び声。


『僕』も振り返ったけど、何が起こったのか一緒に見ると……黒ずくめの格好をしているけど、鋭いナイフをあちこちに振り回している誰かがいた。


 発狂者? 無差別?


 どちらにしてもここは危険だ。


『僕』も逃げようと、人並みをかき分けて前に進もうとしたが……あちこちの人がナイフの餌食になっているのと、他の人も慌ててしまっているせいでうまく進めない。


 そして……とうとう、『僕』のところに来て。



「ああああああああ!!?」



 僕も……餌食のひとつと、なってしまったんだ……。



(……ああ、そうか)



 記憶がリンクしてくる。


 何が起こったのか……思い出せた。


 けど……辛くない。今はきちんと受け止められるから。


『僕』の遺体を見ても……僕は、大丈夫だった。


 場面は……切り替わり。


 何故か、今度は暗闇に戻って。


『僕』が、十歳くらいの子供の姿で……泣き喚いているのが見えたんだ。


 体中に……ナイフで傷つけられたように、切り傷と血まみれで。

次回は水曜日〜

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