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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十四章 異界の春へ
425/616

425.とうとう知る-②

お待たせ致しましたー

 トリップじゃない……死んだ? 転生??


 全く記憶にない……以上に、体も変化してたんだから……思い当たることはいっぱいあったのに。


 どうして、僕はそこに行き着かなかったのだろう?


 誰かに、そう思い込ませられていたから?



「だ、大丈夫か、カティア?!」



 セヴィルさんが、立たせてくれようとした。


 けど、ショックが大きいのと体にうまく力が入らなくて……僕はしばらく、絨毯から立ち上がれなくなった。


 クラウは心配して、僕の頭に抱きついてきてくれた。


 フィーさんは……無表情で僕を見ているだけだった。



「無理ないよ。自分が一度、死んでるってわかれば」

「フィルザス神、いつからそれを?」

「……カティアが来て、割とすぐ」

「何故それを」

「教えようにも、僕ら神が止めに入っていたからなんだ。カティアのために」



 セヴィルさんの言葉に、かぶせるようにフィーさんが伝えてくれた言葉には。


 僕を……心配してくれる気持ちが伝わってきた。



「……僕の、ためですか?」



 ゆっくり聞くと、フィーさんは首を縦に振った。



「その身体と魂が馴染むために……魂に負荷をかけすぎないように、僕ら神が全力で取り組んでいた」

「けど……そこそこ時間経って、いますけど」

「その段階が少しずつ、良くなったんだ。だから……今こうして言える」

「僕が……大きくなったから?」

「あと、クラウの成長も必要不可欠だった」

「ふーゅぅ」



 クラウは僕の頭にすりすりしてくる以外はいつも通りだ。



「クラウが、僕のじい様が僕に託した神獣なのは伝えたでしょ? どうも……カティア、君がここに来るのを予知して準備していたらしい」

「……僕の、ために?」



 そんなずっと昔から……僕のために、クラウが準備されていた?


 びっくりして、クラウを頭から外して抱っこしても。


 クラウが嬉しいのか、『きゃっきゃ』とはしゃぐだけで……。



「……クラウがそのような?」



 セヴィルさんが見ても、クラウがそうは見えなかったようだ。



「ふーゅぅ?」



 セヴィルさんが加わっても、クラウは首を横に傾げるだけだ。



「その準備が落ち着いて……じい様からも夢渡りで伝えられた。そろそろ良いだろうって」

「それで……秘密にしていたことを?」

「そう。僕としては、カティアが生前の年齢に身体の成長が馴染んでからでも……けど、じい様は大丈夫って言ってくれた」



 だから、いつ言おうかめちゃくちゃ悩んでたんだ。


 フィーさんはそう言ってくれた時は、まだ……何かを隠しているような、苦笑いをしたんだ。



「……他には?」



 僕が聞こうとすると、セヴィルさんが先に口を開けた。



「他?」

「カティアの身体もだが……記憶はどうなんだ?」

「……それは、まだ僕にも」

「嘘だ。でなければ、中途半端なこの状態を維持するのはおかしい」



 それはもっともなことだ。


 僕に、真実の一部を伝えても……僕自身、何も変化がないのだから。



「…………綻びは結んだ。けど、身体に記憶が耐えられるかはわからない。それでも」

「聞きたいです!」



 僕が知りたい。


 きちんと自分の事を。


 僕は立ち上がって、フィーさんの両手をしっかりと握った。

次回は日曜日〜

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