421.アクアス・ペンネ-①(イシャール視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(イシャール視点)
…………なんつー顔してんだが。
今は上司だが、幼馴染みのいつもとは違う表情に……俺もだが、厨房の連中がビビって引くくらいの状態になった。
何せ、『冷徹宰相』が『笑顔全開宰相』になっちまっているからな!?
「イシャールさん、またお願いに来ました」
んでもって、まだ全然公表すら出来ねぇが……こいつの御名手であるカティアが軽くお辞儀して、俺に頼み事をしてきた。大方、笑顔全開の婚約者のためだろうが。
「……こっち来い」
とりあえず、この場で聞いていい内容かわかんねぇから……奥の俺が受け継いだ厨房に二人を招いた。クラウは、器用にカティアの頭に乗っかっているが。
「イシャールさん……アクアスのソース。まだ残っていますか?」
「あ? ……ああ」
だいたいの見当はついた。
カティアがゼルのために作った、絶対誰も食えねーアクアスをふんだんに使ったピッツァが……美味過ぎて腹には足りないと感じたんだろう。俺は絶対食わねぇがな!?
あの残った青のソースは……とりあえず、粗熱取って氷室に鍋ごと保管したが。
「セヴィルさんがまだお腹いっぱいじゃないので……ピッツァは無理でも、パスタを作らせていただきたいんです」
「……ゼルしか食えんな」
そして、だんだんと笑顔全開になっていくんじゃねぇ!?
気色悪い!!
「パスタでも、ペン先みたいなあれをいただいていいですか?」
「普通のじゃなくていいのか?」
「ソースがより絡むからです」
ぜってぇ……俺は味見も何もしねぇぞ!?
さっきのピッツァでも食わなかったがな!?
カティアと俺、クラウにもう一度結界を張れば……ウキウキなゼルはほっといて、俺達は調理に取り掛かることにした。
カティアは氷室や貯蔵庫から探し当てた……青いマトゥラーも使って、さらに青く……薄気味悪いソースを作っていく。
ソースの味見は……俺らじゃ無理だからゼルにさせたが。
絶対こいつの顔目当ての女どもに見せたくないくらい……恍惚とした表情になりやがった!!?
「……美味い。マトゥラーが組み合わさって、ピッツァと同じくらい」
「じゃ、これを」
なんで、さらに刻んだアクアスをリンネオイルの中で炒めるんだ、カティア!!?
「……何してんだよ」
「僕がいた世界だと、代表的な辛いパスタのソースなんですよ」
「……さらに辛くする必要が?」
「僕も初めてなので……うまくいくか」
少し煙が上がるが、結界のお陰かゼル以外に被害はねぇが……蒼の世界って、マジでどんな食事があんだ??
次回は火曜日〜