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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十四章 異界の春へ
417/616

417.中層厨房へ突撃

お待たせ致しましたー








 ◆◇◆













「……ゼル向けのピッツァを作りたい?」



 突撃しましたのは、中層厨房で……目的の人物は料理長のイシャールさんだ。



「はい! 日頃のお礼なども兼ねて……ですが」

「…………お前の場合、それ以上もだろ?」

「……それはご内密に」



 イシャールさんはともかく、お城のほとんどの人達には……僕がセヴィルさんの御名手(みなて)だという事実は知らないので、ここは黙ってもらうしかない。



「クレスタイト閣下に? さすがカティアちゃん、気遣い上手ね?」



 去年イシャールさんと御名手になられた、シャルロッタさんは本日も可愛らしい。と言うか、イシャールさんと婚約されたことで可愛らしさが増したかも。恋する乙女が可愛くなるって言うもんね?



「けど……ゼル向けっつったら、アレだろ?」

「はい。アクアスを使った……ピッツァを作りたくて」

「あ、アクアスを??」

「あれで、ピッツァの味変……ちょっとした変化をつけたい時とかに使うオイルを、セヴィルさんは愛用しています」

「うぇ……」

「本当……?」




 まあ、普通ならこう言う反応だろうね?


 僕もひと舐め出来ないあのオイルを……セヴィルさんは普通のタバスコ以上にかけて食べちゃうんだもん。そのセヴィルさんを満足出来るようなピッツァとなれば……そのアクアスを使うしかない。



「なので……奥の厨房使わせてください」

「お前なら、上層のを使わせてくれんだろ?」

「……マリウスさん達に止められるかと思って」

「……止められるだろうな」



 ピッカンテオイルの時は、ファルミアさんがいらっしゃったから……一応作れたというわけで。


 イシャールさんも……少しは渋いお顔になられたが、すぐに『よし』と声を上げてくださった。



「保護者がわりに、俺も手伝う。それなら、まだいいだろ? シャル、こっちは任せた」

「はい」

「ありがとうございます!」



 これで、セヴィルさんへのピッツァが出来るぞ!!


 意気込んでいると、上に乗っていたクラウもはしゃいでくれた。



「んで? アクアスを使ったピッツァってどんなだ?」

「そうですねぇ……」



 貯蔵庫から、イシャールさんがアクアスの箱を持ってきてくださったので……久しぶりに見るそれを改めて観察。


 本当に……綺麗なスカイブルーの唐辛子にしか見えないや。



「ひと口で、大抵の奴は拷問以上の苦しみを味わうんだぜ?」

「けど、セヴィルさんは普通ですけど」

「昔俺とかがけしかけたとは言え……あそこまでの激辛好きになるとはなあ」



 その話を聞いて、僕はある調理法を思いついた!

次回は木曜日〜

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