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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十四章 異界の春へ
414/616

414.まだ関係を結ばぬ(エディオス視点)

お待たせ致しましたー








 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(エディオス視点)











 セリカが俺の部屋の前に立っている。


 なんの夢かと思いかけて、自分の頬をつねったが痛みは感じ取れた。なら、部屋の前に立っているセリカは本物だと言うことだ。


 だからって、なんで今日になってここに?


 セリカは今、実家のリチェルカーレ家で神王妃になるための教育を受けて、めちゃくちゃ忙しいはずなのに。




「……セリカ?」

「あ。エディ……オス、様」




 声をかけたことで、セリカも俺に気づいてくれた。


 セリカはまだ、俺を幼馴染みの兄貴分として……呼び名をそのまま口にしかけたが。今は御名手(みなて)であり、婚約者である俺の名前を辿々しくだが、呼んでくれた。


 それが、俺の心臓を射抜いたような衝撃を感じた!!



「……どうした」

「い、いえ……その。アナお姉様に……」

「アナ?」



 将来の義妹? になるあいつになんか言い含められたのか? 考えられることは山ほどあったが……セリカはどんどんうつむいていった。



「……時間のあるうちに、エ……エディオス様のところに会いに行けと」

「…………」



 アナ自身も、サイノスとの時間が取れるようでないとは聞いていたが。


 やるじゃねぇか、あの妹も!


 セリカも意味がわかっていないわけじゃねぇだろうが……部屋に来た意味がわからないくらい、ガキじゃねぇ。


 とは言え、いきなりがっつくわけにもいかない。何百年かぶりに、とりあえず部屋に入るよう促した。



「……変わっていないようで、変わっているのね」

「そりゃそうだろ?」



 それだけ……俺達は引き離されていた。


 セリカは一度記憶を失い……市井でしばらく育ったとは言え……先先代のリチェルカーレ家夫人とほぼ瓜二つと言っていいくらい、美しく成長した。


 俺自身、いつから……とは、自分でもはっきり覚えはないが。それでも、今目の前にいる存在を手放すとは思えない。


 御名手としてもだが、ひとりの女としても……こいつを生涯自分の腕の中に閉じ込めたいんだ。



「……あの、エディオス様」

「ん?」

「その……先ほどから、ずっと笑顔だけれど」



 酒が入っているとは言え、それくらい締まりのない表情をしていたのか?


 だが、神王ではなく『エディオス』としてなら……なんの問題もない。


 俺はセリカに近づいて、すぐに抱きしめてやった。



「夜半に、女と男が一緒にいる意味くらい……お前でもわかんだろ?」

「わ、わかって…………いるけど」

「けど?」

「ミービスさんのところで手伝いしてた時から……男女についての事は、お客さんからの聞いてたけど。でも……少し怖い」

「……そうか」



 聞くのと、実際するのとは違う。


 令嬢としてずっと育っていたのなら、また違った教育を受けてきたはず。それは今から学び直しただけでも、塗り替えることは出来ない。


 なら、俺の出来ることは……と、セリカを抱き上げてベッドに寝かせたが。



「あの……エディ、オス様?」

「あ?」

「これは……?」



 服を脱がせもせずに、変換(アイゼン)だけで寝巻きにしてやった。それは俺もだが。



「今日のところは、とりあえず一緒に寝ようぜ?」

「え?」

「時間はたっぷりあるんだ。いきなり、抱かれるのはお前も嫌だろ?」

「け、けど」

「お前が嫁さんになるのは、もう決まったんだ。いきなりでなくてもいい」



 だから……と、抱き寄せてやるだけにした。


 いきなり口づけすれば、忍耐の意味がなくなるからな!



「……あ、ありがとう」

「そん時までの楽しみだ。まだ、なだけだ」

「……はい」



 そして、本当に文字通り健全な状態での朝を迎えることになった。

次回は火曜日〜

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