413.酒に溺れる手前(エディオス視点)
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☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(エディオス視点)
セリカと……御名手となれた。
それは、これ以上にないくらいの……最上の出来事になったんだが。
俺は、ひとつの不満を抱えていた。
(……セリカと会えねぇ)
親父の前で、御名手との結びつきを認められたとは言え……俺はともかく、セリカは簡単じゃなかった。
なにせ、百年以上も市井の中に混じって生活していたんだ。故意ではないにしても……リチェルカーレ家に戻ったからとはいえ、行儀作法を学び直し中に……俺の御名手となったんだ。
つまり、やることが山積み過ぎて……俺との時間が全然無いに等しい。
カティアの家庭教師もフィーが引き継ぐぐらいだ。神王妃となるまで、ほぼ毎日が大変で済まない。
「……あ〜……」
食堂で晩酌していても、居るのはセリカじゃねぇ。
「不満が声にも顔にも出てるよ? エディ」
大酒かっ喰らってんのは、見た目はガキだが実際は遥か長命で唯一神のやつだ。
いっとき、神力不足で倒れたが今はぴんぴんとしている。
「ま、気持ちはわからなくもないが」
もう一人、妹の御名手で将来的に義兄となるサイノスもいた。こいつも大酒飲みだから、いくら飲んでも顔色ひとつ変えていない。
「……だってよぉ」
せっかく。
せっかく、御名手になったのもだが……セリカが俺と過ごす時間が、まったくと言っていいくらい、無い!!
恋人らしい触れ合いも……告白と儀式したあの日以来……中途半端なあれくらいだった。口づけも、まだしていない……フィーの呼び出しで邪魔されたからな。
「まあまあ。悠久ほどじゃなくても、長い間一緒にいるんだよ? そう思えば、今くらい大丈夫大丈夫」
「……今すぐ会いてぇ」
「欲望丸出しだな。その声音でセリカの耳元で囁いてやんなよ?」
「…………」
サイノスの助言の意味がわからなかったが……酒が回って、あまり考えられないかもしれない。久しぶりに飲み過ぎたかと、俺は席を立って部屋に行くことにした。
セリカ以上に、俺もすべきことはあるので……明日も明日で忙しい。フィーらには適当にしてろと言ってから、いくらかふらつきつつも部屋に向かうと。
「……セリカ?」
見間違えないくらい、綺麗な薄紫の長い髪の女が……俺の部屋の前に立っていた。
次回は土曜日〜




