402.ちょっと恋人らしく
お待たせ致しましたー
セヴィルさんに抱きつくと、セヴィルさんは少し体を揺らしたけれど……僕が出来るだけ腕を背中に回せば。セヴィルさんからも、またぎゅっと抱きしめてくれた。
「嬉しいです!」
「……俺もだ」
ちょっとだけ、一歩前進出来たんだ。
「ふーゅぅ!」
クラウも喜んでくれるのか、僕の頭にちょこんと乗って大きくなった翼をパタパタ動かしていた。
「エディオスさんとセリカさんも、無事に儀式が終わってよかったですね!」
「……ああ。色々忙しくなる。……その前に」
何故か、セヴィルさんが僕の顎に指を添えて……クイッと。
(……ってぇえ!? これって!?)
僕が抗議しようとする前に……セヴィルさんのお顔がドアップで近づいてきてしまい。
待ったをかけるのも遅く……僕は唇を重ねられた。
人生初の、ファーストキッスがあ!?
呆気なく、奪われたあ!?
大好きな相手だから、大丈夫だとしてもぉ!!?
「今は、これくらいで」
離れたと同時に、蕩けるような微笑みを向けられたが……嬉しく感じる間もなく、僕は頭のキャパがいっぱいになってしまって。
セヴィルさんの腕の中で、くてんと倒れて気を失ってしまいましたとさ。
次に起きた時はベッドの中にいて……クラウにはまたぎゅーっと抱きつかれ、セヴィルさんには腰を痛めてしまうんじゃないかってくらいに、何度もお辞儀して謝罪されてしまいました。
「あ、謝らなくて大丈夫ですから!」
「だが……気絶するとは」
「それは…………は、初めてだったので」
「! お前もか?」
「セヴィルさんもですか?」
「ああ」
そう言えば、僕以外の恋愛話とか聞いたことがなかった。
なら……その、すっごく嬉しい!
お互いが初恋で、恋人同士になれたんだから。
嬉しくて、笑っている間に……涙が出てしまい、ぐすんとしているとセヴィルさんがハンカチで優しく顔を拭いてくれました。
「少しずつ……進めてもいいか?」
とまで言われると……少し、戸惑った。体は大きくなっても、まだ中学生手前くらいだから。
なので、ちょっと口を閉じていると……セヴィルさんが、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。
「すまない。俺が嬉し過ぎて、言い過ぎたな」
「……いえ。僕も、嬉しいんですけど」
「……では。また抱きしめてもいいか?」
「! はい……」
それくらいはお安い御用だと頷いて、早速と抱き締めていただいたのはいいけれど。
香水とは違う、セヴィルさんのとってもいい匂いに……恥ずかしくなって、心臓がバクバクしてしまったのだ!?
次回は火曜日〜