397.虹の舞(クロノソティス視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(クロノソティス視点)
第一段階の、封印は無事に解けた。
よかったよかった。
「爺様のお陰もあって……思っていた以上に早く解けたね?」
守護獣の、クラウの成長も相成って……魔力の循環も少しずつ浸透していき、奏樹のあの転生させた身体にもうまく馴染んだ。
だから、身体の成長も少しだが促せたのである。
「想いの方も……うまくいった」
セヴィルへの気持ちに、何重もの封印を僕らやフィーが重ねていたけれど……結局は、カティア自身が内側からあふれるのを止められなかった。
だから、僕は……爺様と一緒に、クラウも含めてカティアへの身体のリンクを強めた。その結果が、あの成長だったけど。
「……まさか、ほとんどの御名手を繋げてしまうとは思わなかったなあ?」
フィーは相当疲れただろう。立て続けに、王家や王家に連なる人間の子達の『魂繋ぎ』をしたんだから……そろそろ、唯一神とは言え何も起きないわけがない。
「……大事がないように、僕らもフォローしなきゃ」
もうすぐ。
あと少しで、あの子の対となる存在が目覚める。
黑の黑。
その反対の正。
眞白の世界の唯一神。
僕ら神々の孫の末の妹。
末の弟であるフィーの、番となる存在。
あの子と良い出会いをするためにも、フィーにも万全でいてもらわなくちゃ。
「さぁて? 流れ流れる虹の神の後継として……僕も頑張らなくちゃね?」
狭間の流れから立ち上がり、懐から薄虹色の扇子を取り出す。
それを開き、僕は構えてから足運びをして……舞い始めた。ただの踊りではない。
【我、虹の後継。この舞を届けよ届けよ……各々の世界へと。流れよ流れ、虹の力を】
レイの世界にも、サフィーナの世界にも……他の弟妹らにも。
もちろん、フィーの世界にも。
少しでも、狭間を通じて僕の力を伝えれば……彼らも回復するだろう。
なにせ、カティアを成長させるのには……少しばかり骨が折れたのだから。
それから、小一時間くらい舞い続けていると……水鏡の反応がひとつあった。
『随分と、豪勢な事をするのね? クロノ兄様』
サフィーナだった。相変わらず可愛くて綺麗だけど、呆れ顔はあんまり似合わないなあ?
「フィーの……あの子達のためだ。多少は頑張んないとね?」
『無理をして寝込まないようにしてちょうだい? あなたが寝ると数百年の時間軸のズレが出来るわ』
「はいはい」
この後、軽く寝ようとしたがやめておくことにした。
『とりあえず……あの子供の御名手は大慌てでしょうね? ただでさえ愛らしい子が成長したのだもの?』
「セヴィルは、カティア限定だからね?」
気持ちが爆発しなきゃいいけど……と、思っておくしか出来ない。
次回は月曜日〜