390.ピッツァ・アル・タッリョ-②(セリカ視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セリカ視点)
……私、とエディお兄様が、御名手?
それは、私の身体を通してフィルザス様がお伝えしてくださった儀式が成立したため、誠なのはわかったが。
(お……にい、さまも私を??)
私が、私なりに……諦めるつもりで、想いの内を告白するだけだったのに。実際は、エディお兄様も私を想ってくださっていたことがわかり、そして……御名手の儀式が成立したのだ。
私がまだ夢心地でいた時……さらに、お兄様から口づけをされる手前で、フィルザス様がいらっしゃったため……私は恥ずかしくて恥ずかしくて、気持ちが落ち着かなかった。
さらに……皆様にも知られていて、カティアちゃんをメインにとても大きなピッツァを作ってくださっていた。
大きいと称する以上に、大き過ぎるけれど。
「切り分けたら、手づかみでいっちゃってください!」
カティアちゃんがそう言うのに、少し驚いたけれど……皿も満足に置けないスペースなので仕方がなかった。
まだ数回くらいしか食べていない、カティアちゃんの得意料理。
それがいつものトレーを大きくしたくらいじゃなく、四角く……テーブルに惜しみなく並べられているんだもの。今日は満腹以上に食べられるということだ。
「カティア! どっからでも食っていいのか?!」
「はい! いっちゃってください!!」
エディお兄様はすぐにがっつきにいこうと、カティアちゃんから皿を受け取っていらした。少し前の、甘い雰囲気などどこにもない……いつもの、エディお兄様。それを見て少し安心してしまったが。
(……私……この方と)
本当に、御名手となったのだろうか?
気持ちの切り替えが早過ぎて、あまり自信が持てない。
少し気落ちしていると、後ろから誰かに肩を叩かれた。
「大丈夫よ、セリカ?」
「……ファルミア様」
少し前に、御懐妊なされたファルミア様が苦笑いでいらした。
「エディはああ言う人だもの? でも、その御名手になれた事実には胸を張りなさい? あなたはこれで……神王妃になるのよ?」
「……あ」
そうだった。ただの御名手ではなく、神王の御名手ということだから。
神王国だけでなく、世界の中枢を担う国の王妃になるのだ。それについては、すっかり頭から抜け落ちていた。
「ま。それは後で考えていいわ。冷めちゃうから、ピッツァを楽しみましょう?」
「……はい」
国の規模は違えど、この方も王妃になるまで多くの苦労を経験なされた。だからこそ、その言葉の重みはよく理解出来た。
「おーい! セリカ達も食おうぜ!」
エディお兄様が、乾杯の準備も成されたようなので。
ファルミア様と頷き合ってから、私はカティアちゃんから皿を受け取ってピッツァの絨毯みたいな前に立ったけど。
どれも美味しそうで……選ぶのに物凄く悩んだわ!
次回は月曜日〜