389.ピッツァ・アル・タッリョ-①
お待たせ致しましたー
何があったのかは、想像しか出来ないけれど。
エディオスさんが、やけに機嫌がいいから……だいたいの予想は出来る。今はお子ちゃま体型の僕でも、もとは成人している人間だからね?
「ふゅふゅぅ??」
クラウはわかっているのかわかっていないのか……セリカさんの頭を軽く撫でるようにペチペチしていたけど。
「……フィーさん?」
「んー?」
とりあえず、フィーさんに聞こうと振り返れば、彼は苦笑いしていた。
「おふたりに何が??」
「んー、僕がちょっと邪魔しちゃったんだよね?」
「邪魔?」
「……ふたりが口付けしようとしてるとこで」
「それは……」
エディオスさんを見れば、セリカさんの肩を抱いて上機嫌状態のままだ。邪魔をされても、御名手の事実は変わらないから嬉しいのは一緒なのだろう。
とりあえず、一向に正気に戻らないセリカさんの頭をペチペチしているクラウを捕まえ……僕はテーブルにあるピッツァを説明することにした。
「ふたりとも、カティア達と僕で頑張ったピッツァ食べようよ?」
「お?」
「…………?」
フィーさんが指ぱっちんで、ファルミアさんの結界を解いて……匂いが広がったことで、セリカさんも首を傾げてくださった。
「お待たせ致しました! お祝いのピッツァ・アル・タッリョです!!」
言いにくいけど、別名ローマ風ピッツァ。
四角くて、大きくて……本場イタリアのピッツァ店ではよくあるピッツァだ。切り分けて売っていたり、イベント事だとテーブルに広げるくらい大きくしたり。
僕も修行していた店では何回か手伝った程度だけど……多分、うまくいったはず。
「うぉ!? これ全部ピッツァか!?」
「…………圧巻だな」
「素晴らしいですわ!!」
「……え? これ、全部」
反応は様々だけど……メインのおふたりにも驚いていただけて何よりです。
「今日はお祝いだよ! なにせ、エディとセリカが御名手になったんだからね!!」
「……そこだが、フィー」
乾杯しようとフィーさんが声を上げた時、エディオスさんが彼の肩を強く握った。セリカさんは、サイノスさんに預けていました。
「ん?」
「ん? じゃねぇ!! 俺とセリカが御名手だった事実くらい、さっさと言えや!!」
「言えるわけないでしょ? 『御名手』なんだから」
「〜〜……そう、だが」
「皆が知ってたって?? 自分達で気づいたから肯定しただけだよ??」
「〜〜……」
僕とかは教えてもらった側だけど、ややこしくなるから言いましぇん。
とりあえず、ピッツァが冷めると美味しくなくなるのでいつも通りの席に座ろうと言うことになったが。
「……セリカはこちらだ」
セリカさんの席は、魔力パターンを書き換えてセヴィルさんが譲った。彼は、僕の反対の席にパターンを書き込んで座ることになりました。
次回は金曜日〜