376.バレンタインへ-①
お待たせ致しましたー
◆◇◆
バレンタインの時期も近いと言うことで。
アナさんもだけど、セリカさんもお呼びして。マリウスさん専用の調理場をお借りしまして。
チョコレート作りに挑むわけです!!
「以前にも話したけれど……今日はココルルのお菓子を作るわ。来るべき……蒼の世界にとっては、『バレンタイン』と言う時期のために!!」
「はい!」
「ファルミア様。どのようなイベントですの?」
「砕けて言うと……大切な人に、ココルルのお菓子を贈ることよ。女が男へ。逆もなくはないけれど……基本的に女からよ」
「「え」」
「リュシアにはサイノスがいるでしょう? セリカは……当然、エディね?」
「え、え!?」
「素晴らしいですわ! ファルミア様!!」
「リュシア達は初心者だから……トリュフチョコか生チョコね?」
「あ、あ、あの!!」
「この中で、あと結ばれていないのはあなただけよ? セリカ?」
「わ、わ、わ!」
「御名手じゃないからとでも言いたいでしょうけど。可能性もないまま、じっと傍観するのもよくなくてよ?」
「…………」
さすがは、ファルミアさん。
セリカさんくらい大変な思いをして、今の王妃様の地位にいるから説得力が違う。
アナさんも、同じ気持ちなのか首を縦に振っていた。
僕も強く頷くと……セリカさんはようやく頷いて、チョコレート作りに取り掛かることになりました!
「まずは……ココルルをとにかくたくさん刻みます」
チョコチップクッキーなら、セヴィルさんも食べられると思い出して、僕はそれを。他の皆さんはトリュフだったりのチョコレートのお菓子作りをすることになった。
アナさんが少し包丁使いが心配だったが……セリカさんは慣れているので、ザクザクと刻んでいく。
エディオスさんに、どんな気持ちで渡すのかな?
「リュシアはトリュフだから……これを溶かして、ある程度固まったら丸めるの」
「刻む前ではいけませんのね?」
「玉のように丸めるためよ? 手の熱で溶けるなんてたかがしれてるわ」
「わかりましたわ」
「……ファルミア様。こちらは」
「そっちも生地に溶かし込むのに、ある程度湯煎で溶かす必要はあるわ。リュシア? 直接溶かすのではなくてよ?」
「……はい」
本当にお料理をしない人からすると、直火でチョコを溶かした方がいいと思っちゃうんだよね?
「ふゅふゅ?」
クラウは、僕の頭の上で今もくてんってなっています。だから、刻んだチョコレートのひとつを口に入れてあげたらすごく喜んでくれた。
(セヴィルさん……喜んでくれるかなあ?)
一番に喜んで欲しいのは、大好きな人。
まだ体は元に戻れないけど……好きな人には、美味しいもので喜んで欲しかった。
次回は月曜日〜