364.そうでありたい(ジェイル視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ジェイル視点)
……どうしようもないのは、わかっていた。
(…………また、強く叱ってしまった……!!)
誰を、と言うのは俺もよくわかっている。
近衛騎士のひとりであり、暗部にも少し所属している……シェイリティーヌだ。
普段から、地方の言葉でおちゃらけていて親しみやすく……男女問わず交友関係が深い。そんな彼女を、副将軍である俺は……少し厳しめに叱ることが多いのだ。
将軍であるサイノスがあまり叱ることがないので、必然的に俺が叱ることが増える。元の性格もあるが……。
(…………どうしたものか)
今日も今日とて……恋する女性を叱るなど、男としてどうなのか。……いや、上司としては仕方がないところもあるが。
俺が執務机で落ち込んでいると、サイノスから乾いた笑いが飛んできた。
「そう思うんなら、強く叱らなきゃいいだろう?」
「…………出来たら、していない」
これはもう、根付いた性格も関わっているだろうから。
「結構前からって、いつだ? シェイルが入隊した頃か?」
「…………その頃だ」
あれは忘れもしない……シェイリティーヌが入隊した年。
俺やサイノスがそれぞれの役職に就任して、数年経ったばかりの頃だ。
ふわんとした、少しオルジェが強い黄色の髪。
くりくりとした瞳。
まだ、地方の言葉を口にする前だったが……俺の身体に雷のような衝撃が走った。
あれがもう……決定事項だったと言えよう。それでも、普段は副将軍らしく、上司として接してはいるが。
自他共に認める、厳しい性格のせいで……逆に嫌われているかもしれない。
あまり聞かないが、他人に愚痴ってはいないようだが……。御名手かもしれないと一方的に想っているだけで……彼女はどう思っているのだろうか?
少し考えただけで、俺はさらに気落ちしてしまう。
「まあ……わかってんなら、捕まえとけよ?」
「……どう言うことだ?」
サイノスの言葉に意味がわからないと返せば、奴は肩を軽く落とした。
「なんだかんだ、シェイルは人気もんだろう? お前さんがもし御名手ってのはともかく……あちこちの奴らが狙っているかもしれないじゃないか?」
「……そ、れは……!」
考えて、いなかったわけではない。
本当に……彼女は気さくで親しみやすい女性だ。
つるんでいる面子も……ほとんど、同期の男連中ばかり。
奴らが……シェイリティーヌを……と思うと、腸が煮えくり返りそうだ!!
「俺んとこと同じようにはなるなよ? シェイルがお前さんをどう思っているかはわからんが……イシャール達もくっついたからなあ?」
「……………………リチェルカーレの、か」
たしかに、お相手はシェイリティーヌと学園では同期だった伯爵家の女性。
この宮城で……御名手の儀式をされたそうだ。
(何故、こんなにも周りが早く決まるんだ!?)
俺とて、シェイリティーヌとそうであって欲しいのに!!
次回は日曜日〜