360.クラウの成長-②
お待たせ致しましたー
モルモットのような。
フェレットのような、けど毛並みは前と変わらない。
僕に擦り寄ってきたいと言う無邪気さは相変わらず。
でろーんって体が伸びているから、抱っこしてみると……結構大きい。僕の小学生体型だと、ちょっと抱っこするのが大変な大きさ。
例えるなら、子犬がいきなり成犬近くになったくらいの感覚だ。
「ふゅふゅぅ!」
けど、クラウとしては嬉しそうだったので、僕は一生懸命に抱っこした。
「……神獣を間近であんまり見てきてないから……だけど。クラウは可愛らしいわね?」
ファルミアさんがこっちに来ると、クラウをぽんぽんと撫でてくださった。それにも。クラウは嬉しいのかすりすりと頭を擦りつけた。
「ふゅぅ」
「けど何故? フィー、いきなり大きくなったのに……なんか欠片とか言っていたようだけれど?」
「神力の欠片さ? クラウのご飯にしてたんだよ」
「…………そう」
追求するとややこしくなるので、ファルミアさんはそれ以上突っ込んでくるのをやめた。かわりに、クラウをヨシヨシしてあげてたけど。
「……クラウちゃん。可愛い!!」
で、セリカさんはクラウの可愛らしさにメロメロのご様子です。
セリカさんが声を上げると、クラウは彼女に向けて大きくなった手を伸ばした。行きたいのかな? と、セリカさんの方へゆっくり近づけば……クラウはみょーんと体を伸ばしたので、セリカさんに渡してあげた。
「ふゅぅ!」
「柔らかいわ! 前の丸っこいのも可愛かったけど……大きくても可愛いわ!!」
セリカさんくらいだと余裕で抱っこ出来るようだ。僕サイズだとちょっと大変なのに……やっぱり早く封印が解けてほしいと思う。でも、無闇に解いちゃいけないから我慢我慢。
すりすりとしているクラウは……今更だけど、本当に赤ちゃんのように見える。たしか……性別ってなかったんだっけ??
「……ひとまず、結界は解いて良さげかしら?」
ファルミアさんがそう言うと、フィーさんが首を縦に振った。
「事情を知っている子達以外には……記憶をすり替えよう。せめて……カティアの封印が解けるまで」
フィーさんが指を鳴らせば、ドーム型の結界も消えていき……窮奇さんはファルミアさんの影に潜り込んだ。
「すり替える?」
「マリウスとかライガーはだよ。クラウがこれから成長しないとも限らないし……また成長したら今の魔術の作用ですり替えるようにはしたから」
「……そうですか」
騙しているわけじゃないけど……僕のことも隠しているし、ゴタゴタが起きた方が大変だもんね。いずれはきちんと打ち明けるから……それまでの我慢だ。
「ふゅふゅぅ!」
とりあえず、厨房には行こうと決まり。
僕の頭にクラウが乗るか試してみると。
「……テーマパークの帽子みたいね?」
ファルミアさんがそう言い出すくらいに、クラウは僕のフードみたいな感じに伸び切った。
次回は火曜日〜