359.クラウの成長-①
お待たせ致しましたー
◆◇◆
厨房に向かっている途中……クラウが寝返りをしたいのか、もぞもぞ動いているように思った……ら。
「え!?」
「「え!!?」」
僕もだけど、ファルミアさん達が声を上げるのも無理はない。
抱っこしていたクラウが……少し金色っぽく光っていたんだ! その光がどんどん強くなっていく!?
「窮奇!」
「御意!」
ファルミアさんが四凶さんのおひとりの名前を読んだ途端、影から窮奇さんが飛び出てきた。
僕があわあわしていると、窮奇さんは手を動かして……僕とクラウに向けてきた。
「カティ! ちょっとじっとしていて!!」
「囲め……囲め、皐月!!」
窮奇さんが声を上げると、僕……と言うか、僕らの周りに紫の半ドーム型の膜が出来た!?
その間も、クラウは相変わらず光ったままだけど!
「な……なにが!?」
クラウに声をかけようにも、光ったままでいつもの鳴き声を上げたりしない。本当にどうしちゃったんだろうか!?
「はいはーい! 僕の出番だねぇ?」
呼んでもいないけど、クラウのために駆けつけてくださったフィーさんが……窮奇さんが作ったドームを簡単にするっと入ってきた。
僕のところに来ると……クラウの頭の部分を撫で出した。
「フィーさん、クラウが!」
「大丈夫大丈夫! ちょっとだけクラウが成長するんだよ!」
「「「成長!?」」」
僕らが声を上げていると……光っていたクラウが……少しずつ形が変わっていく? なんかそんな風に見えたんだ。
「ふーゅぅー!!」
やっと、クラウが声を上げた途端……クラウの変化がちゃんとわかるように、光が形を変えていく。
丸っこいふわふわボディが……シュッとしていくような。
金の丸っこい翼も、シュッと広がっていくような。
形が変わっていくのが落ち着くと……光がシュバっと消えていった!?
「ふゅふゅぅう!」
クラウは完全に起きていて……そして、体が大きくなっていた。
シュッとしたスリムボディが特徴的な……。僕の方に振り向かせたら、顔はあのホワイトオパールのお目々とかはそのままだけど……手とか足もおっきくなってた。
なんでいきなり?
「……クラウ?」
「ふゅぅ!」
「クラウ、だよね?」
「ふゅ!!」
可愛いのは相変わらずだけど……一体全体どうして??
どうして、クラウがいきなり大きくなっちゃったんだろう??
「んー……成長段階でも壱の弐ってとこかな??」
ひとり、わかっている感じのフィーさんは、僕の隣で何度も頷いていた。
「フィーさん……クラウは」
「きっかけは僕でもわかんないけど。あの欠片の力も安定してきたから……神獣としての成長段階に達したんじゃないかな?」
「……それで?」
「多分だけど」
「ふゅぅ!!」
抱っこしたままのクラウは、少し長くなった腕を僕に伸ばしてきたので……近づけさせてあげれば、ポフポフと柔らかくて癒される気がした。
次回は金曜日〜