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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十一章 異界の年の瀬
354/616

354.ムカつくが(エディオス視点)

お待たせ致しましたー








 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(エディオス視点)










 ここが執務室で良かった。


 いきなり来た……イシャールもだが、久しぶりに会うシャルロッタの……御名手(みなて)の儀式をしたと言う報告に、近侍らを下がらせて……マジで正解だった!


 驚き過ぎて、思わず椅子から盛大に転がり落ちたくらいだからな!?



「……マジかよ!?」

「マジだぜ? その後に、フィーからの証言もちゃんともらった。証人もひとり居る」

「……誰だ?」

「カティアだ」



 これには、ゼルと一緒に黙ってしまう。


 見た目、80代のガキだが……実は成人年齢のカティアが証人であるのは強みになる。


 イシャールは魔眼で見抜いてしまったが……カティアの封印がほころびているのか、セリカくらいの見た目とダブっているそうだ。ゼルとしてはいち早く見たいだろうが、フィーの忠告でまだ封印が解けない。


 とりあえず、またひとり秘密の共有者が増えたが……そいつにまで御名手のことも先を越されるとは思わなかった!?



「……なんだ。おめでとう」

「おう」

「……ありがとう、ございます」



 祝いには違いないので、神王と言うよりも個人として祝いの言葉をかけた。


 イシャールの笑顔がいちいちムカつくが、事実は事実なので仕様がない。儀式が済んだと言うことは……明日には全体公表をしなくては。


 フィーからの証言もあるのなら、俺がひと言添えれば周りは何も言わないだろう。多少、俺にはまだかとかうるさいジジイ大臣達は言うだろうが……俺は、セリカ以外には認めない。



(つーか、セリカとの接点がどんどん減ってく!?)



 目の前のイシャールの妹……。


 もし、マジで俺の御名手(みなて)がセリカだったら……イシャールを義理の兄と呼ばなくちゃなんねぇのか……。


 微妙にムカつくが、そうなったら仕様がないので……受け入れるしかない。



「んじゃ、報告はこんなとこだ。仕事あるし、戻るぜ?」

「……婚姻を結んでも、シャルロッタはそのままか?」

「ったりめーだ。ガキ出来るまでは俺の右腕だ」

「りょ、料理長!?」



 幸せなことで。


 マジで羨ましいし、ムカつくが……お互いを想っているのには全然気づかなかった。普段からなかなか会わないせいもあるだろう。



「……お前はどうするつもりだ?」



 完全に、イシャール達が退室した後に……ゼルが俺に聞いてきた。



「……イシャールが鉄壁だぞ? 簡単に言えるか?」

「……そうではない」

「…………イシャール抜きにしても。拒絶されるのが怖い」

「拒絶?」

「……最初、セリカはこっちに戻ってくるのを諦めようとしていた」



 サイノスと説得しに行ったあの日。


 俺が強気で……セリカに戻って来いと言わなければ。


 セリカは城下町で一生を過ごし……御名手かどうかわかんねぇ相手と結婚して、ガキを生んだ生活をしたかもしれない。


 本能的に、俺はそれが嫌だった。


 今思えば……セリカを見つけて、こいつだとわかった時に。俺はセリカが自分の唯一だと思い始めたのだろう。


 御名手かどうか……は、自分でもまだ納得が出来ていないが。



「……年が明けたら、また少し忙しくなる。少しは……俺とカティアのように、茶でも誘えるようになればいい」

「……簡単に言うなあ?」



 だが、俺以上に諦めの境地に居たこいつに言われると……耳が痛かった。

次回は金曜日〜

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