344.なにを作ろうか?
お待たせ致しましたー
◆◇◆
セヴィルさんの誕生日……バレンタインまでまだ時間がたっぷりある。
僕が作っていたアクセサリーも順調。
研磨などの段階も終わった、あとは……仕上げに台座となる部分のセッティングくらい。フィーさんに教わりながら作ってはみたけど、子供の手でも十分に出来た。
我ながら、初めての宝石っぽいものでアクセサリー作りをしたが、良い出来栄えだった。
「……すぐにでも渡したいけど。せっかくだから、お誕生日当日がいいなあ」
バレンタインには、何を作ろう。
セヴィルさんからは『カティアの作ったものなら、なんでも良い』と賞賛のお言葉をいただけたが……逆に悩んでしまう。
甘いものがあまり得意でない人に……出来れば、美味しいと言ってもらえるお菓子を作りたい。セヴィルさんは、善哉とかが少し食べられたし……ハチミツピッツァも食べられる方。
とは言っても、ひと口でいい方だ。あまりたくさんは食べられないはず。
なら、と……ここはひとつ。
「うーん? セヴィルが食べれそうな甘いお菓子かあ?」
やっぱりだけど、フィーさんに頼らざるを得ません。
「僕やファルミアさんがいた、蒼の世界だと……ココルルとかキアルのような食材がよく使われたんです」
「キアルねぇ? 人間が食べ過ぎると、神力酔いするから……セヴィルとかでもオススメしないね?」
「じゃあ、使うのはココルルですね?」
ただ、そうすると……デザートにはあんまり詳しくない僕では塩気もプラスしたチョコレートのお菓子は作れない。
塩キャラメルとか塩チョコレートって、単純に塩を加えるだけで作れるものではないらしいからだ。
「カティアの作るものなら、なんだって良いって言われたんでしょ?」
「そ、そうですが……出来るだけ、美味しく召し上がっていただきたいですし」
「まぁね? ミーアからまだ返事来ないんでしょ?」
「なので、フィーさんに相談したんです」
ファルミアさんには、セヴィルさんとのお付き合い報告も兼ねて、チョコレートで何を作った方がいいのかお伝えしたのだ。あれから、三日くらい経つが……まだ彼女からの識札は来ていない。
きっと……一生懸命考えてくださって、いるはず。
面白がっていなければ良いけど。
「じゃあ……僕以外にも、知っている子に聞けば良いんだよ」
「? フィーさん以外に??」
と言って、フィーさんは指パッチンで瞬時に消えてから……少しして、今度は誰かを連れて出てきた。
「え、え? カティアちゃん??」
フィーさんが連れてきたのは、セリカさんだった。
「セリカなら、下町事情に詳しいし。簡単で美味しいお菓子作りを知ってると思ってね?」
「? どう言うことですか、フィルザス様?」
「フィーさん……セリカさんに説明せずに連れてきたんですか?」
「この方が早いと思って!」
とりあえず、強力な助っ人が来てくださったわけです。
次回は火曜日〜