表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十一章 異界の年の瀬
338/616

338.ようやくの想い

お待たせ致しましたー








 ◆◇◆












 本当にどうしちゃったんだろう!?



「ふゅふゅぅ!!」



 クラウが、突然起きたかと思えば僕とセヴィルさんの手を引っ張ってきて……重ねさせた。


 すぐに離そうとしたら、今度は自分の体を使って『ぎゅー』っと言わんばかりに抑え込む。この子、何をしたいのだろうか!?



「く、クラウ!?」

「……どうやら、簡単には離してくれそうにないな」



 セヴィルさんは諦めたのか……少し息を吐いていらっしゃった。



「……クラウ。退いて?」

「ふゅぅ、ふゅ!」

「…………ダメ?」

「ふゅ!!」



 僕が聞いても、自分の体を退かそうとはしてくれない。


 言葉をしゃべれないし、まだテレパシーのようなもので意思疎通も出来ない。


 どうしたものか……と思っていると、セヴィルさんが空いている手で僕の頭を撫でてくださった。



「セヴィルさん?」

「……下手に気まずくなるのもなんだ。クラウが手助けをしてくれたのだろう」

「ふゅ!」

「クラウ?」



 そうだとも、と言わんばかりに……えっへんと胸を張った。その時に、体が離れたので僕はセヴィルさんから手を離そうとしたら……セヴィルさんが、がっしりと掴んだ!?



「フィルザス神から聞いたのだろう? お前が寝言で俺に言ったことを」

「は……い」

「それは……本当にお前の本心か?」

「!?」



 知った上で、改めて言えと!?


 なんて羞恥プレイをさせるつもりなんですか!!?


 口をぱくぱくしていると、セヴィルさんはまだ僕の頭を撫で続けた。



「しっかり聞きたいんだ。お前の口から」

「し……知って、いるのに……ですか!?」

「俺のも幾度か告げただろう? なら……聞きたい」



 たしかにそうかもしれませんが!!?


 僕は自覚したばっかりなんですよ!?


 振られないにしても…………あれ??



(振られないから、大丈夫??)



 そうだ。セヴィルさんは僕がこのままでも……想いを告げてくれたんだ。


 僕がこだわっているのは、見た目についてだ。それもすごく大事だけど……本当に大したことがないかもしれない。


 障害としては……全然大したことがないのなら。



「……本当に、僕でいいんですか?」



 だから、わかってても改めて聞きたかった。



「……ああ、姿形がなんであれ…………カティアでなくてはダメだ」

「……!!」



 その力強い言葉に……僕は、泣いたのもだけど我慢が出来ずにセヴィルさんに抱きついた。ベッドから落ちそうな位置だったけど、セヴィルさんはしっかり受け止めてくださった。



「カティア?」

「……も、です」

「……え」

「ぼ……くも、す……き、ですぅ」



 もうどうしようもないくらい、この人のことが大好きになっていたんだ。


 まだ、ほんの子供だった時の記憶は戻っていないけど……『今』は今で、僕はセヴィルさんが大好きになったんだ。


 僕の泣きながらの言葉に、セヴィルさんがぎゅっと抱きしめてくださると……扉の方からドタバタと大きな音が聞こえてきて、慌ててセヴィルさんが様子を見てくださったんだけど。



「…………何をしている」



 絶対零度の突風が吹いたかのように……セヴィルさんはトーテムポールになっていたエディオスさんとフィーさんに怒りをぶつけようとしていた。

次回は金曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ