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【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版  作者: 櫛田こころ
第十一章 異界の年の瀬
334/616

334.言い逃げされた(セヴィル視点)

お待たせ致しましたー








 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(セヴィル視点)










 あれは本当に不意打ちだった。


 カティアが風邪で寝込み、俺はひと晩中看病をしている時だったが。


 服を変えさせることは出来ないが、出来るだけ拭ってやろうと……ぬるい湯で湿らせた布で拭いてみた。カティアは多少息苦しそうではあったが、昼間よりは呼吸が安定していた。


 フィルザス神からの薬飴や……不甲斐ないながらも、俺が作った料理で回復しているからだろうか?


 とにかく、早く元気になって……いつものような笑顔を見せて欲しい。執務に明け暮れて……最近はなかなか逢引きも満足に一緒に過ごせていなかったから……治ったら出来るだけ時間を作ろうと決めた。


 カティアと一緒に寝ている、クラウも共に。


 愛らしい寝息を立てて、主人の横でくーくーと寝ている。



「……熱は、引いてきたな?」



 カティアの額に手を当てれば、彼女が寝入る前に比べれば熱がだいぶ下がってきた。この調子なら、フィルザス神が言うように……たしかに、明日以降には体調が落ち着くだろう。それでも、完全に回復するまで無茶はさせられないが。


 とりあえず、冷やすための布を取り替えようと布を外した時。


 カティアが、うっすらだが目を開けたのだ。



「……すまない。起こしたか?」

「…………」

「カティア?」



 まだ夢の中かもしれない。


 寝ぼけて、身体が反応して目を開けただけかと。


 眠った方が良いと……声をかけようとしたら、いきなり柔らかい笑みを浮かべたのだ。



「……セヴィル、さん」

「……カティア??」



 起きたのか? ともう一度聞こうとしたが……カティアはさらに幸せそうな笑顔になって、とんでもないことを告げてきた!?



「…………大好きですぅ」

「か、カティア!?」



 寝ぼけているのか??


 今のは正気なのか??


 とにかく、嬉しさが込み上がり……顔に熱がこもっていくのがすぐにわかった。


 寝言か? 正気か? と、いつものように冷静に判断出来ずに……頭の中がぐるぐると考えがまとまらずになっていると、カティアは笑みを引っ込めて、また眠ってしまった。



(…………………………寝言?)



 つまり、今のは無意識か??



「あーりゃりゃ? 寝言みたいだねぇ?」

「フィルザス神!?」



 いつから居たかわからないが、フィルザス神が俺の横に立っていた。つまりは……聞かれていたと言うこと!!?



「ぷぷー! めちゃくちゃ面白い顔してるけど、騒いだらカティア起きるよー?」



 誰のせいだ、誰だ!!


 と言いたいが、騒ぐとカティアが起きるので口にするのを我慢したが。



「……交代か?」



 とりあえず、フィルザス神が来た目的を聞くことにした。



「うん。もう朝一だし、ご飯食べて来なよ? あと、軽く仮眠も取っておいで??」



 目の下、軽くクマになっているから。と、フィルザス神が言うので……頭を冷やす意味も兼ねて、あとを任せてから俺はカティアの部屋を出た。



(……だが……だが!)



 寝言とは言え、カティアの口から俺に好意を示す言葉が出てきたのだ。


 だが、逆に寝言だと封印された記憶が漏れ出て、昔のカティア(奏樹)の気持ちになって紡がれたかもしれない。


 そう思うと……今のカティアの心情がうまく読み取れず、喜んでいいのかどうかわからなくなってきた。


 今日は仕事自体休みなので……食事をしてからカティアのところに戻ろうかとも思ったが、エディオスにどうしたんだと俺の変化を問い詰められたので。仕方なく……言うことにした。


 笑われはしなかったが、哀れみの情をかけられ……とりあえず、誰かに打ち明けられた安心感を得てから、再びカティアの部屋に行くことにした。

次回は日曜日〜

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