327.渡航者の風邪-②
お待たせ致しましたー
◆◇◆
熱い……。
寒い……。
熱い…………。
お風呂に行こうとしただけなのに、体がすごく重くて動かせない。
早く行かないとアナさんを心配させてしまうのに……体がうまく動かないのだ。
(……どうしたんだろう……??)
この独特の倦怠感には覚えがあった。蒼の世界……地球にいた頃は、子供の時もだが成人してからもなった覚えのある病気。
先日、アナさんが罹ったのと同じ……風邪に違いない。
そこに気づくと、ゆっくりとまぶたを持ち上げられた。
「ふゅふゅぅううう!!」
すぐ近くで聞こえる、クラウの鳴き声。ゆっくり首を動かせば……クラウが誰かに抱っこされながらジタバタしていた。
フィーさんじゃない。
もっと大人…………セヴィルさん??
顔を見るのに首を動かそうとしたら、止められた。
「無理に動かそうとするな」
やっぱり、セヴィルさんだった。顔は良く見えないけど……言葉から、心配しているのが良くわかった。
「ぼ……く、げっほげほ!?」
声を出そうとしたら、咳が出てきた。これは完璧に風邪だと納得。
「無理しない方がいいよー?」
ちょっと離れたとこから、フィーさんの声が聞こえてきた。その声で、ようやく僕は自分がベッドに寝かされていたのが理解出来た。
もう一度咳をしてしまうと、フィーさんに口を開けるように言われた。
「あーん……」
何か飴みたいなものを入れられ、舐めると蜂蜜なのか独特の甘さが広がっていく。
「カティアが口にしやすい薬にしてあげたよ。とりあえず、たっぷり寝てね? 汗かいたら、セヴィルに拭いてもらいなよ?」
「「え??」」
「冗談冗談。コロネ呼びな?」
他には人はいないようだけど、コロネさんはいつでも来れる場所にいるんだって。飴みたいな薬を口の中で転がしながら、ぼんやりした頭で聞く。
「…………どうして、風邪引いちゃったんでしょう??」
アナさんのがうつってしまったのなら、潜伏期間を考えれば納得出来るが。
「んー? 多分、疲れがどっときちゃったんじゃない? アナより程度は軽いし、さっきの薬舐めてゆっくり寝てれば……早くて明日中には治るよ」
「「よかった……」」
「ふゅふゅ」
クラウにもだけど、セヴィルさんや皆さんにも大変ご迷惑をおかけしちゃっているからね??
早く治るんなら、それは嬉しいことだ!!
「とりあえず。何か口にしたいものある?? 君、半日以上は寝てたからさ?」
「え……半日??」
「……昨夜の風呂の時間から、それくらい経っている」
セヴィルさんも頷いたので、少しだけ首を動かせば……まだまだ雪のせいでちょっと薄暗いけど、夜じゃなくて昼だとやっと認識出来た。
次回は日曜日〜