326.渡航者の風邪-①(アナリュシア視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(アナリュシア視点)
カティアさんが……お風呂にいらっしゃらない。
私が風邪で寝込んでいた時は、そーっとやってきては入られていらっしゃったようだけど。
全快してからは、いつものようにふたりで入ることになっている。そろそろいらしてもいいのに……来られないのだ。
何かあったのか……と思い、すぐ隣の彼女の部屋へと向かう。
ノックはしたが、お返事はなかった。
「カティアさん??」
いけないとは思うが、そっと扉を開けてみると……すぐに白い何かに視界が埋め尽くされた!!?
「ふゅふゅぅううううう!!」
正体はクラウさんだった。
私に抱きついて来られると、くんくんと上着を引っ張り、奥の方に空いてる手を向けられた。
「……カティアさん!!?」
そちらを向けば、お風呂の支度用に使うものが床に広げられ、カティアさんが倒れていらっしゃった!!?
血などはないので、襲撃ではないと安心は出来たが……それ以上のことに変わりないはず。
小さな身体を軽く揺すって声をかけても、カティアさんからは苦悶の声しか出て来なかった。
「……失礼しますわ」
まさか……と、身体を半転させて額を触れば……とても熱かった。お顔を見ると……汗がすごく、顔色も私の髪のように赤かった。
と言うことは……これは、風邪か??
「ふゅふゅぅう!!」
クラウさんが泣きそうな表情でこちらに来ると、カティアさんの頬を軽く撫でられた。だが、カティアさんは息も荒いままで返事も出来ないようだった。
「……とにかく。まずは、ベッドに!!」
遅い時間だが、すぐに識札でコロネ達を呼び、私は慣れない行動ではあるが……幼児の身体であるカティアさんをなんとか横抱きにして、ベッドに運んだ。
寝かせてからすぐに、コロネと一緒に……フィルザス様がいらっしゃった。
「カティアが倒れたって!!?」
「はい!!」
すぐにフィルザス様がカティアさんの容態を診ていただくと……御手を額から離された後に、ほっと息を吐かれた。
「うん。大丈夫。ただの風邪」
私もだが、コロネやクラウさんもほっと息を吐けましたわ。
「あのポワゾン酒飲んだにしては、酒精も感じられないし……単純に疲れが出たかもね?? アナからうつったわけでもないと思うよ」
「……良かったですわ」
私のせいだったら、本当に申し訳なく思ったから。
とりあえず……看病には、今晩はコロネに任せ、明日以降はゼルお兄様にお任せすれば良いとフィルザス様がおっしゃる時に。
「カティアが倒れたのか!!?」
「大丈夫か!!?」
別の識札でお呼びしたお兄様方は……エディお兄様もですけれど、ゼルお兄様が一番慌てていらっしゃいましたわ。
次回は木曜日〜