320.冬の風邪には-③
お待たせ致しましたー
まず、大事な材料のひとつである卵を……小鍋の中で適量の蜂蜜とよーくかき混ぜ。
日本酒と牛乳を……お好みにもよるけど、合計200mlになるように加えながらまた混ぜて行く。この時にコンロの火はつけて、しっかりしっかり泡立てていく。
「ふわふわになったら……完成です」
アルコールを飛ばすかどうかは、フィーさんの味見で確認しようとティースプーンですくい。
フィーさんに渡すと、美味しそうに飲んでくださった。
「あんまい! これ美味しい!!」
「お酒の部分はどうですか??」
「そんなに気にならないね?? 酒精もほとんど感じないし……甘い飲み物で十分だと思う」
「じゃあ、これをアナさんに持っていきましょう!」
マグカップに中身を移してから、フィーさんの亜空間収納に入れて。片付けとかをマリウスさん達にお願いしてから食堂を出た。残った日本酒の樽は既にフィーさんの亜空間収納の中だ。
「アナー? 僕とカティアだよー?」
僕の部屋の隣にあるアナさんの部屋に行くと、フィーさんがノックしてくれ……開けてくださったのはサイノスさんだった。
「おう。どーした?」
「アナに差し入れ。カティアが作ってくれたんだよ」
「そりゃ助かる」
中に入らせてもらうと、アナさんの咳き込む声が聞こえてきた。
「フィルザス……様。カティア、さん」
「……朝より辛そうですね?」
お顔真っ赤だけど、サイノスさんが言うにはさっきお薬を飲んだばかりだから効いてくるのがまだみたい。
この世界だと、風邪とかの病気は魔術じゃ治らないんだって。フィーさんは、簡単にそう言う魔術を使っちゃいけないから……手出し出来なかったんだそうだ。
「はい、アナ。カティアが作った飲み物」
サイノスさんに体を起こしてもらったアナさんに、フィーさんは卵酒のマグカップを手渡した。
ちょっと熱いはずだけど、アナさんは少し嬉しそうにそのマグカップを手に取っていた。お部屋は暖房のような魔術で完備されていてもあったかい飲み物は嬉しいみたい。
「……いただき、ますわ」
ゆっくり、ゆっくりと口につけて……ずっ、と音が立つと、アナさんはほっとした表情になられた。
「甘くて……優しいお味ですわ」
「卵に甘みをつけたので、以前ファルミアさん達と作ったエクレアの中身と似てます」
「……あのお味ですのね??」
それから、ゆっくりゆっくりと飲み干すまで卵酒を堪能された後……眠気がきたのか、僕らが帰る頃にはベッドで寝てしまった。
「顔色が良いな? ありがとよ、カティア」
「お役に立てて何よりです」
大きな手で撫でられると嬉しいなあ?
クラウにもよしよししていただいた。
次回は日曜日〜