300.雪遊び-①
お待たせ致しましたー
沈む!? と思ったら、たくましい腕に引っ張り上げられた。
「……危ない」
素敵美低音のお声の持ち主、セヴィルさんが僕を間一髪のところで引き上げてくださった。僕の頭に乗っていたクラウは、すぐにぴょんと宙に浮いたから巻き込まれてはいない。
「……すみません」
「俺が近くにいたから良かったが。フィルザス神には、まだ術をかけてもらっていないのか?」
「まだです……」
「ほいほーい!」
フィーさんがすぐにやってきたので、お得意の指パッチンで僕とあとクラウが一瞬白く光った。
抱えられていた僕は、セヴィルさんにゆっくり降ろしてもらうと……さっきとは違って、すぐに沈むことはなかった。
「おお!?」
「ふゅぅ!!」
クラウが雪の上に立っても沈まない。初めての雪に、ゴロゴロ転がっても沈まなかった。結構冷たそうなのに、クラウは平気そうだけど。
「カティア〜? 雪で遊ぶって何するんだっけ??」
フィーさんがそう質問してきた時には、エディオスさん達もやってきた。
「そうですね? まずは、雪だるま作りです!」
「「「「「雪ダルマ??」」」」」
「ふゅ?」
この様子だと、雪像の存在もないかもしれない。
「雪を出来るだけ大きく、丸く固めて。その上に少し小さい塊を乗せます。それに枝や石で顔を作ったりするんです」
「ほーん? この雪だと埋もれるのにわざわざ??」
「蒼の世界だと雪の粒は指の先端以下でしたし、積雪も時間かかりますから」
「嘘だろ?」
それと、雪だるまこの後の遊ぶにも使うので。とりあえず、雪の降り方が落ち着いている今こそ。それぞれに雪だるま講座を行ってから、僕はクラウと一緒に雪だるまを作る。と言っても、クラウは浮かんできゃっきゃしてるだけですが。
「よし!」
顔は石とかが雪の下で埋もれてしまっているが、僕サイズの雪だるまが完成した!!
無理ない範囲で作れたから満足!!
「おっしゃ!」
「出来たよー!」
エディオスさん達も出来上がったようなので、次なる遊びに移る前に……フィーさんと用意しておいた熱々の紅茶で体を温めて。その後に、雪だるまとは違い、拳サイズの雪の玉を大量に生産しました。
「雪合戦です!」
雪だるまを先に作ったのは、二チームに分かれての対抗戦にして陣地の障害物にするためです!!
設置場所だけは、フィーさんの魔術で移動させてもらいましたとも。
「まあ! この雪ダルマに隠れても良し。不意打ちで投げるのも良しですのね!!」
「はい!! で、優勝チームには善哉のお代わり権獲得ですよ!!」
「まあ!!」
「組分けくじできたよ〜?」
この世界にはじゃんけんの遊び方もないので、チーム分けとかではくじ引きが普通らしい。
先端が赤いのがついてたりする、紙紐のくじの結果は。
赤チーム、僕、フィーさん、サイノスさん、アナさん。
白チーム、エディオスさん、セリカさん、セヴィルさん、クラウ。
クラウは賑やかし程度にしか思われるだろうが……雪玉は持てるし、上から落とす攻撃は絶対油断出来ない。
とにかく、雪玉を両サイドに分けてからスタートすることになった!!
次回は水曜日〜