表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
297/616

297.大切な友人(ファルミア視点)

お待たせ致しましたー








 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)











 懐妊中だからと……することがないまま迎えた冬。


 暇で暇で暇過ぎたある日……見た目は幼い同郷の友人からの通達が届いた!!



「……なんですって!?」



 識札の内容は……近況も含めて色々書かれていたが……最後の部分が重要だったわ!!



「……ゼルへの片想いを……よーやく自覚したのね、カティ!?」



 私と出会っても数ヶ月とは言え、ゼルの抱えていた想いは二百年以上。


 この識札に書かれている内容を見るに、多分カティが自覚したかどうかと言うだけでも。喜ばしいことだわ!!


 これはリースにも伝えなくては……!! 執務がだいたい落ち着いてから、識札で彼を私のいる部屋に呼んだわ。



「本当かい、ミーア!?」



 親友の恋が成就するかもしれないとわかるとなると、夫は少年のようにはしゃいでいたわ。まあ、無理ないわ。カティとゼルの恋愛事情を見守っていたひとりだから、やる気に満ち溢れていた。


 カティからの識札を見せてあげると……さらに興奮した表情になったわ。



「驚いたでしょう?」

「本当だね!? けど、この感じだとミーアには知らせただけみたいだけど」

「リュシアにだと大袈裟にされるだろうし、セリカにはセリカ自身のこともあるから」

「セリカ? なにが??」



 そう言えば、リースにはセリカがエディのことを想っているのは知らなかったはずだわ。言ってもいいだろうけど……はしゃがないようにと注意してから告げたら……カティのを知った以上にはしゃいだわ。



「落ち着いて、リース!」

「だってさ!? エディもセリカが好きなんだよ? これもうほとんど御名手(みなて)でしょう!!」

「そうかもしれないけれど、落ち着いて」



 そうであって欲しい、けれどわからない。


 ひょっとしたら、カティはフィーに教わっているだろうが……私達には教えてくれないでしょうね?


 彼女はある意味でどこの国にも所属しない、しかし……神王国に愛された少女として生活している。


 その生活を壊したくないし、ゼルとの育んできた愛を芽生えたばかり。


 だから、向こうの女性ふたりではなく私に告げて来たのだろう。あと、単純にリュシアの件で私が拗ねたからかもしれないが。



(転生したとは言え……精神年齢が以前のままね?)



 おそらく、転移で来たカティとは大違いだわ。


 見た目は小学生でも、彼女の方が大人に見えてしまう。それを何人が気づいているのか……ゼルは当然でしょうけど。



「ねぇ、ミーア? カティの『好き』と『愛してる』ってゼルにどっちで思っているのかな??」



 私が悩んでいると、リースはまた識札の内容を読み返していたわ。



「そうね? likeとloveの境目に立っている恋する女の立ち位置は難しいわ」

「ミーアが昔教えてくれた『好意』と『愛』だよね?」

「そう。カティは蒼の世界で、そういった経験がなかった。……というのは、フィー以外の神々によって、ゼルと出会った記憶などを封じられた。その記憶が戻ってないにしても……今のゼルを想う自信がないようなの」

「素直に想えばいいのに?」

「誰もがそれは難しいわ」



 私とリースの時のように。


 リースが私のために動いてくれたように、すべてが上手く回るとは限らない。


 けれど、あの冷徹宰相などと言われてるゼルにもだけど……カティにも幸せになってほしい。


 どちらも大切な友人だから。


次回は月曜日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ