291.黑の初雪
お待たせ致しましたー
◆◇◆
「ゆーきやこんこん! あられやこんこん!」
「ふゅゆ! ふゅゆぅ!! ふ、ゆ、ゆぅうう!!」
あっという間に冬です。
冬が到来しました!!
寒くなってきたなぁとは思っていたけど、まさか起きたら寒さが増してきたなあ……と感じたのはまだ良い。
カーテンを開けたら、雪が降っていた。降っていたと言うか『落ちていた』!?
雪がキューブ状になってて、僕の頭くらいの大きさで落ちてきていたのだ。落ちた雪は柔らかいのか崩れて積もっていくだけ……。びっくりして、日本の童謡を歌うくらい現実逃避しちゃいますとも!!
「雪だよね〜?」
「ふゅぅ?」
「クラウは初めてだもんね〜?」
「ふゅゆ!」
「僕もこう言うのは初めてだよ……へぷち!」
寒くなったから、上着とか着なくちゃ!
前もって、コロネさんとかに冬服を用意していただいててよかった。ドレスとかはわかんないけど、いつも通りのチュニックみたいなのに……モコモコフリースみたいな?
クラウにも、コロネさんがハンドメイドで作ってくださった服があるので着せてあげる。赤いから、なんだかサンタさんに見えるなあ?
「ふゅぅ!」
「朝ご飯食べに行こうか?」
「ふゅ!」
いちにご飯、ににご飯? なクラウだから、断ることだなんてない。
ふたりで食堂に向かうと、角を曲がった時に見覚えのある人と遭遇出来た。
「よぉ?」
「サイノスさん!」
「ふゅゆううう!!」
神域以降会えていなかった、サイノスさんと会えたんです! クラウは嬉しいのか抱きつきに行ったんだけど……。
「あ、待て!」
「ぶゅゆゆぅうう!?」
ピトッと触った直後、クラウは何か異常を感じたのかすぐに離れた。どうしたんだろう??
「あ〜、今まで雪かきしてたんだよ。だから、多少乾かしたが服が濡れまくってんだ」
「お、お疲れ様です」
「今日からしばらく外出んなよ? 初雪からひと月はやべーくらいに降るからな?」
「ひょぇ〜〜!!?」
「ぶゅぅううう!!」
あのどか雪がひと月以上も降り続けるの!!?
異世界天気循環は、ある意味はちゃめちゃなんですなあ?
(けど、寒い時にはあったかくてボリューミーなものが食べたくなるだろうし??)
エディオスさんに許可をもらって、パンツェロッティかシカゴ風ピッツァを作ろうかなあ??
「俺もやるから作ってくれ!!」
「ぴ!?」
朝ご飯の後に提案すると、エディオスさんはテーブルから乗り出す勢いで僕に頼んできた。
「そーだねー? エディは神王でもまだまだ若手だから、足腰鍛えたるのに雪かきはいい運動になるんだもん?」
と、補足説明はフィーさんがしてくださいました。
「わかりました。どっちにします??」
「パンツェロッティ!!」
「シカゴ!!」
「「なんでだよ!!?」」
サイノスさんがパンツェロッティ。
エディオスさんはシカゴ風。
意見が割れて、距離があるのに火花が走るのが見えた気がした。
「食べ応えあんだろ!?」
「だが、手軽に食いたい!!」
「……落ち着け」
「「で!?」」
騒ぐおふたりにセヴィルさんが魔術か何かで軽く? 攻撃をされた。鈍痛くらいだからか怪我はしてないけど。
「作るのはカティアだ。手間を増やそうとするな」
「「……へーい」」
「んー……じゃあ、揚げたてを用意しますのでパンツェロッティにさせてください!!」
「「頼んだ!!」」
と言うわけで、お昼ご飯……と言うよりもおやつに作ることになりました。
次回は木曜日〜