267.悩む誕生日プレゼント
お待たせ致しましたー
◆◇◆
ファルミアさんと他に決めた事と言えば、『バレンタイン』。
日本の四季基準に合わせても、まだこの世界では四ヶ月くらい先。
そして、その時期には……セヴィルさんの誕生日が迫っている。今のうちに、考えた方がいいだろうかどうしようか。
ちょっと、ご相談に乗ってもらおう。
「セヴィルの誕生日?」
今回はセリカさんとかじゃなくて、フィーさん。
お話のお供には、パンのあまりを使って作ったシュガーラスクをご用意しましたとも。揚げたものだから、フィーさんの手は止まらなかった。
「……はい。お世話になっていますし……い、一応、婚約者さんですし」
「君の気持ちを素直に言えばいいんじゃない??」
「い、言えって言われましても!!? まだ……誠実な理由じゃないですし」
「ほほう?? 誠実じゃない??」
しまった。口が滑ってしまった。
フィーさんの表情がいたずらっ子な小悪魔に見えてしまう。彼は神様であるけれど。
「その……」
「うんうん」
「ま、前ほど……嫌じゃないというか」
「好きかもって気づいたわけ??」
「た……多分」
「はっきりしないなあ??」
だって、元の姿に戻らなきゃ、僕はこの世界基準の成長速度を迎えないと……セヴィルさんの背には近づけない。
たった10歳くらいの見た目だと、あと二百年も彼を待たせてしまう。
そんなのは……正直言って嫌だ。
「……とりあえず。僕のことは二の次でいいんで……せめて、贈り物だけでも考えたいんです」
「ふぅん? ある意味で毎日のように贈り物あげているじゃん?」
「?」
「セヴィル向きの料理とかお菓子とか」
「……もっと特別感のあるものにしたいんです」
「ん〜〜……じゃあ、時間はまだあるし。君に彫金を教えてあげよう!」
「ちょーきん?」
「ミーアんとこで宝飾品選んだでしょ? 僕と一緒にあるとこに行こうよ? そこで、宝石以上のものを採取するんだ」
「どこへ??」
「聖洞窟!」
「え!?」
ディシャスと一緒に行った、クラウの卵が保管してあったあの場所に!?
フィーさんが許可してくれるなら大丈夫だと思うけど……とりあえず、行こう、とフィーさんの指パッチンで転移の魔法を使って移動したのでした。
「ふゅぅうううう!!」
もちろん、クラウも連れて来たので。久しぶりの場所に嬉しくなったのかあちこちに飛んではしゃいでいた。
「取りに行くのって、どこまで歩くんですか?」
「ふふん。クラウの卵があった場所なんだ? 面白いことになってるよ??」
クラウが生まれた時は何もなかったのに……何か変化があったのだろうか?
とりあえず、歩くことになった。
次回は火曜日〜