253.命の兆し(ファルミア視点)
お待たせ致しましたー
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
ヴァスシードに戻ってそこそこ経つけど……。
まだ、神王国から去らないでいた方がよかったと、も・の・す・ご・く、後悔したわ!!
「リュシアとサイノスの御名手の儀式にお目にかかれなかっただなんて!!」
なんで、こっちが帰国してからやるのかしら!? あの人達!!
サイノスやリュシアはあからさまだったし、セリカの方はあとから聞いたけど……けど、なんでよ!?
「なんで、そんな面白い事態にいっつも除け者な訳ぇ!?」
「……それは俺も同意するけど、ミーア」
今私はひとりではない。夫であるユティリウスと一緒にいるのだ。ちょっとだけ、私の体調がすぐれないのでベッドで寝てる私を見舞いにきてくれたのだ。
四凶らはただいま廊下で待機。
だって、こう言う発表の時は夫婦二人でいたいもの??
「今日にも、玉座で発表……そこから世界中に識札達が飛んでいってくれているはず。……うちもだけど、神域の果てまで行っているはずだわ。聖獣達も騒ぐと思う」
「だね?……俺達のはあとあとになりそうだけど」
「あら? エディがそれを良しとしないはずよ?」
「そうだろうけど」
とってもとっても大事な事。
私達ヴァスシード王家にとっても、この世界にとっても重要な事なのだから。
「……まだ芽吹いたばかりだけど、大事に育んでいきたいわ」
小さな……とっても小さな命。
それが、私のお腹に宿っている……つまりは。
「俺達の大切な子だからね? エディ達にも喜んでもらえると思う」
「ええ」
確信は昨日。
確定は神王国に行く数ヶ月前だけど。
私……前世でもなかった、『妊娠』をこの世界に生まれ変わってからしたみたいなの。
性別は、時期がくれば魔術で調べられるからまだどちらかとはわからない。しかし、どちらであれ大切な我が子だ。とても大事にしたいもの。
「……まだ、根深くミーア暗殺を狙っている輩はいるけど」
「うちの四凶達が許さないはずがないわ。相手には相当な呪いをプレゼントするわよ?」
「容赦ないもんね?」
「あなただってしつこかったでしょ?」
「今更言う?」
「今更だからよ??」
この人との出会いは、本当に偶然で驚きに満ち溢れたものだったから。
次回は火曜日〜